将棋の大人気ライトノベル『りゅうおうのおしごと!』 作者、藤井聡太に脱帽「ラノベ作家には厳しすぎる現実……」

  10月11日、将棋の藤井聡太名人・竜王が史上初の八冠に輝き、将棋界が盛り上がっている。既に王位・叡王・棋王・王将・棋聖の七冠を獲得している藤井名人・竜王はこのたび王座戦五番勝負に臨み、永瀬拓矢王座を破り、八冠となった。

  この快挙を受け、将棋を題材にしたライトノベル『りゅうおうのおしごと!』の作者・白鳥士郎がXを更新。「この超特大イベントを被せてくる現実さん、ラノベ作家に厳しすぎる…」と語り、現実世界でライトノベルの世界を超える凄まじい出来事が起こっている快挙に驚嘆した。

  白鳥によると、今年は『りゅうおうのおしごと!』の1巻が発売されて、ちょうど8年目を迎えるという。作品の主人公は九頭竜八一なのだが、その“八”一にちなみ、電子版セールとシリーズ初短編集発売8周年記念フェアが開催されている。その真っただ中に、藤井聡太が“八”冠を制覇するという快挙となった。

  まさに、ライトノベルの世界のようなドラマチックな出来事の連続である。白鳥は、以下のようにもポストしている。

「『りゅうおうのおしごと!』が現実を超えようと思ったら、八一が1年に1つずつタイトルを増やしていって、一般棋戦も全部取り、しかも失冠もせず…という山ばかりで起伏も葛藤も無いストーリーにしなければならないので、やはり現実のほうがプロットの立て方がおかしい。それで面白くなる将棋界ずるい」

「将棋の内容そのものが面白いのと、あとは棋士や記者というキャラクターそのものに深みがあって面白いんだよな。現実は。創作の世界で将棋を、勝負を、いかに上手く見せるかが鍵なのかな… ラノベのキャラはイラストの力を借りてるので、じゃあ自分にできることは何だろうと考えてしまう」

  フィクションの世界を現実が超える、もしくは現実のものになる。そんな快挙が相次いでいる。例えば、9月2日に開催されたバスケットボール男子ワールドカップ順位決定リーグで、日本はカボベルデを80―71で破ってパリオリンピックの出場権を獲得した。2021年に開催された東京オリンピックでは開催国枠で出場したため、自力での出場が決まったのは1976年のモントリオールオリンピック以来となり、実に48年ぶりの快挙となった。

  この快挙に反応したのが、漫画『SLAM DUNK』の作者の井上雄彦であった。井上はかつた単行本で、「日本チームの五輪出場が見たい」であった。しかも、『SLAM DUNK』を読んでバスケを始めたという子どもたちが、大きくなって実現してくれたら・・・・・・とのことで、もしそれが実現したら「オレは泣くぞ」と語っている。そんな井上の夢は、約30年越しに叶ったのである。

  さて、藤井名人・竜王の凄まじい活躍は「AIを超えている」とSNSで絶賛されている。大谷翔平が大リーグでは不可能といわれた二刀流で大活躍したときも、まるで漫画のようだと賞賛された。今後も、様々な分野で、現実がフィクションを超える大活躍が見られるのだろうか。そんなとき、漫画家やラノベ作家はどんな気持ちになるだろう。もちろん複雑な気持ちにもなると思うが、本心では嬉しくてたまらないはずだ。

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