『るろうに剣心』実は猛者ばかり? 「鵜堂刃衛」「石動雷十太」……剣心を脅かした初期の敵キャラたち

『るろうに剣心』最強・最弱の兵器

未熟すぎた天才・石動雷十太のポテンシャル

  また、“日本剣術の行く末を憂う者”こと石動雷十太も、かなり高いポテンシャルをもった剣士だった。雷十太は殺人剣を信奉する「真古流」の指導者であり、その剣術の実力によって次々と竹刀剣術の道場をつぶしていた。

  彼が得意とするのは、「飯綱」(いづな)という剣技。高速で刀を振るうことによってかまいたちのように剣圧を飛ばすことが可能で、真剣であればダイヤモンドをも切り裂くと評されるほどの威力だという。

  数多くの剣士が出てくる『るろうに剣心』のなかでも、物理的に剣圧を飛ばすことができたのは一握りなので、雷十太がいかに規格外の才能かよく分かるだろう。剣心ですら「飯綱」の乱れうちには容易に近づけず、腕に傷を負っていた。しかもそれほどの剣技を、古流の秘伝書から独学で編み出し、10年間の修行によって習得したというから驚きだ。

  さらに雷十太は剣心との戦闘時、「龍槌閃」が直撃してもほぼダメージを喰らっていない描写があった。攻撃力だけでなく、耐久力にも秀でた逸材だったのだろう。攻守ともに隙がなく、遠距離攻撃を得意とする雷十太について、「十本刀」に匹敵する強さと評価する読者も多い。

  しかし彼には決定的な弱点があった。精神面の未熟さと、実戦経験の浅さだ。殺人権を信奉するものの、実際には人を斬った経験がなく、剣心に傷を負わせただけで大喜びする始末だった。ただ、28歳という若さを考えれば、そうした甘さは仕方がなかったとも言える。もし剣心のように若くして死線をくぐる経験があれば、確実に相当の手練れになっていたはずだ。

  逆に言えば、独学を中心とした鍛錬だけで剣心に傷を負わせるほどの境地に辿り着いたということなので、純粋な剣の才能では作中屈指と評価できる。

  ほかにも、ガトリング砲の恐ろしさを読者に植え付けた武田観柳斎など、高いポテンシャルを秘めた初期の敵キャラクターは少なくない。彼らが現代にどのように蘇るのか注目しながら、新作アニメをチェックしてみるのも面白いのではないだろうか。

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