「少年マガジンエッジ」休刊  少年漫画雑誌の部数は低落傾向 今後も休刊は続くのか?

「少年マガジンエッジ」休刊

 講談社が刊行する漫画雑誌「少年マガジンエッジ」が、10月17日発売の11月号をもって休刊することが決まり、約8年の歴史に幕を下ろす。同誌は「マガジングループの最も外側を行く、とがった作品を掲載する」ことを意図して2015年に創刊されて以来、毎月17日に発売されている。

  編集部は公式ホームページでコメントを発表した。「いつも少年マガジンエッジをご愛読いただき、誠にありがとうございます」と読者に向けてコメントし、「『エッジ』という雑誌名に集まってくださった、突出した才能あふれる作家の皆様、尖った漫画作品、熱狂をもって迎えてくださった読者の皆様には、感謝しかございません。心よりお礼申し上げます」と、漫画家に対しても感謝の言葉を述べた。

  また、編集部によれば、いくつかの連載作品は講談社コミックアプリ「マガジンポケット」をはじめ、作品に合わせた媒体で連載を継続する予定という。移籍先の媒体に関しては、最終号となる11月号の誌面で告知すると発表した。

  近年、少女漫画雑誌が低調になっているが、少年・男性向け漫画雑誌も安泰ではない。主要な少年・男性向け漫画雑誌の2023年4月~6月の平均発行部数は以下のとおりである(いずれも日本雑誌協会発表)。

週刊少年ジャンプ(集英社) 1,176,667部
週刊少年マガジン(講談社) 370,083部
月刊コロコロコミック(小学館) 333,333部
月刊少年マガジン(講談社) 164,333部
週刊少年サンデー(小学館) 160,417部
最強ジャンプ(集英社) 103,333部
ジャンプスクエア(集英社) 101,000部
ウルトラジャンプ(集英社) 40,000部
別冊コロコロコミックスペシャル(小学館) 28,000部
コロコロイチバン!(小学館) 26,667部
別冊少年マガジン(講談社) 12,500部
少年サンデー超(小学館) 11,333部
ゲッサン(小学館) 11,000部
月刊少年シリウス(講談社) 7,200部
サンデージェネックス(小学館) 5,600部

  なお、「少年マガジンエッジ」に関しては部数のデータが存在しなかったが、2018年の時点で10,000部というデータもあることから、近年はその半分程度に減少していたのではないかと推察される。

  それにしても、現在の発行部数を見て、衝撃を受けた読者も多いのではないか。かつて『週刊少年ジャンプ』は653万部、『週刊少年マガジン』も400万部を突破していた時代があったのだ。現在はいずれの雑誌も全盛期には遠く及ばない発行部数になっている。

  10万部を割っている雑誌はもはや珍しくないし、1万部を割りながらも発行が続いている雑誌もある。ここには出版社の執念も感じるが、いつ休刊になってもおかしくない雑誌が何誌もあるといえよう。

  電子書籍は盛り上がっているものの、少年漫画界は極めて深刻な状況と言っていい。「少年マガジンエッジ」は独自路線で編集された奇抜な作品、新人の意欲的な作品が掲載され、実験的な作品も多かった。こうした個性的な漫画雑誌が休刊になることで、漫画の多様性が失われ、業界が先細りになっていかないかと心配である。

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