腐敗する教育現場に“鉄槌”を下すダークヒーローが熱い LINEマンガで連載中『鉄槌教師』の中毒性

 刺激的な“教師マンガ”が人気を広げている。LINEマンガで連載中のオリジナルwebtoonーーその名も『鉄槌教師』(原作:チェ・ヨンテク/作画:ハン・ガラム)だ。

 20XX年、「体罰禁止法」の成立以降、教員たちの生徒への体罰が厳しく取り締まられ、教育現場は混乱に陥っていた。不良たちは大人が想像した以上に狡猾で、この法律を盾にやりたい放題。ついには授業中、生徒による暴行を咎めることができず、教員が死亡する事件まで発生する。教育崩壊の問題が深刻化するなか、政府は芸能スキャンダルを隠れ蓑に、国民が容易に納得しないだろう法案「教権保護法改定案」を成立させる。それは、教育の手法に制限を持たず、体罰すら容認される「教権保護局」の設立を決定するものでーー。

©YLAB/LINE Digital Frontier
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 本作の主人公は、その教権保護局に所属する現場監督官のナ・ファジンだ。無造作な長髪に気だるげな表情。とても品行方正とは言えないが、屈強な肉体と信念を持ち、いかなる悪意や策謀も看破する知性を兼ね備えたファジンは、不良生徒や悪徳教師はもちろん、権力者にも反社会勢力にも屈せず、鉄槌を下していくヒーローだ。

 ファジンは深刻な問題が起きている学校に赴き、その機転と「鉄槌」で状況を正していくが、相対する生徒たちがえげつない。親の権威を笠に着て卑劣な行為を繰り返し、人の死すら嘲笑ういじめっ子。ハラスメントを捏造し、善良な教師を死に追いやった女生徒……「人の生き死に」に踏み込むほどの悪意に対する鉄槌は、体罰/暴力は許されないことだとわかっていながら、否応なくスカッとさせられてしまう(※女生徒に対する鉄槌は、ファジンの部下で女性のイム・ハンリンが下している)。

 一方で、子どもたちが道を踏み外した理由もしっかり描かれ、ただ悪者を成敗するだけで終わらないのも『鉄槌教師』の魅力だ。

©YLAB/LINE Digital Frontier
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「おおまかに言えば
 現職職員では手に負えない腐った学校を…

 あなた達のように
 子供が一人
 命を堕としたにも関わらず
 警察と裏で闇取引をし
 うまいこと始末しようとする
 
 そんなゴミみたいな学校に対し
 特別指導を施す部署です」

 とは、校内で起こる問題を見て見ぬふりで放置し、保身だけを考えているある学校の教頭に対して、ファジンが「教権保護局」の意義を説明したセリフだ。無責任で利己的な大人、子どもから搾取する教師も鉄槌の対象になり、寒気がするほど非道だった生徒が、きちんと更生する姿も見られる。罪を憎んで人を憎まず……というのは、言葉でいうほど簡単なことではないが、鉄槌という因果応報の結果、再スタートする人々の未来は明るくあってほしい、と思わされる。

 さて、そうはいっても暴力を暴力で制するやり方が世間にすんなりと受け入れられるはずもなく、ファジンの行動/鉄槌はニュースになり、メディアでは非難の声も上がるなど、賛否両論が巻き起こる。ファジンが純然たる正義のヒーローではなく、ダークヒーローなのだということが伝わってくるが、そんな世論を跳ね返していくのが、「教権保護局」の首謀者であり、ストレートな言動で多くの国民から支持を受けている“記者が最も恐る政治家”チェ・ガンソク教育部長官だ。そのガンソクと、彼が信頼を寄せるファジンはなぜ、これほど性急な教育改革に挑むことになったのか。学校単位での“鉄槌エピソード”とともに、少しずつ進行する大きな物語にも注目が集まる。

 とにもかくにも、読み始めたらスマホのスクロールが止まらなくなる中毒性があるのが『鉄槌教師』という作品だ。刺激的なストーリーだけでなく、フルカラー&縦スクロールのwebtoonならではのアクションシーンも見どころの本作、8月11日からは新シーズンも開幕しており、この機会にチェックしてみてほしい。

■『鉄槌教師』

https://lin.ee/nZsL9P1/pnjo

『鉄槌教師』公式PV CV:諏訪部順一

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