『チェンソーマン』三鷹アサ、ヒロインとしての魅力 素直だけど孤独な少女の内面にあり?
アサとユウコのエピソードがジャンプらしいヒロインとしてのエピソードとするならば、アサのジャンプヒロインらしくないエピソードもある。8月9日に刊行された最新15巻ではアサが恐怖している対象についてのモノローグが描かれる。
“他人が信用できないのに一人じゃ寂しくて・・・たまに人に近づくの・・・・・・そしたらいっつも悪いことが起きて・・・傷ついて・・・また一人になって・・・!”
“一人でいるのも他人といるのも・・・・・・どっちも怖いの・・・!”
孤独への恐怖も他者への恐怖も学生時代の普遍的な悩みだ。孤独も他者も怖くないままに大人になったという人は稀だろう。その一方でジャンプ漫画のヒロインがこういった独白をすることは少ないのではないか。前述した両親を亡くしているというバックボーンや、学校での孤立、さらにこうしたティーンエージャーの切実な悩みを持つ三鷹アサ。その姿は、貧しい少年時代を過ごし、ポチタという愛犬を亡くし、チェンソーマンとして命を狙われほかの同世代のような生活を過ごせないデンジの姿とも重なるものを感じる。
三鷹アサの持つヒロインらしい一面とらしくない一面。それは『チェンソーマン』という作品の在り方とも通じる姿だ。敵をバッサバッサとなぎ倒していくチェンソーマンの姿はヒーロー漫画らしさに溢れているが、欲望に忠実なデンジの言動や大胆なビジュアルや構図は少年誌らしくないという評価もある。三鷹アサは『チェンソーマン』という作品の写し鏡なのかもしれない。