『チェンソーマン』三鷹アサ、ヒロインとしての魅力 素直だけど孤独な少女の内面にあり?

『チェンソーマン』三鷹アサの魅力とは?

 『少年ジャンプ+』(集英社)にて連載中の『チェンソーマン』。現在連載中の第2部『学園編』では第1部から引き続き主人公を務めるデンジと、両親を悪魔に殺された三鷹アサのダブル主人公でストーリーが展開されている。文字通りこの作品のヒーローを務めるデンジに対し、アサはさながら『学園編』におけるヒロインと言っていいだろう。ふたりの恋仲とも敵対ともいえるようで、そのどれでもない奇妙な関係は、現在の『チェンソーマン』の大きな推進力になっている。本稿では三鷹アサというキャラクターについて改めて考えてみたい。

 第四東高等学校へ通う三鷹アサは、周囲の級友たちに馴染めずに孤立した学園生活を送る少女であった。『学園編』の幕開けとなった第98話『鳥と戦争』では、クラスで飼うことになった鶏の悪魔・コケピーを自身の不注意で殺してしまう。ますます学校に居場所がなくなってしまったアサは、クラスの委員長が契約した“正義の悪魔”に頭と顔を切り刻まれる。死んだはずのアサだったが、"戦争の悪魔"のヨルに体を乗っ取られたことで死を免れる。

 アサは率直な少女だ。違法建築が当たり前になっている街を侮蔑し、車ひとつ通っていない夜の信号も守ろうとする。正義感が強く、決められたルールにも素直に従う。自身に向けられた好意も素直に受け取る。その正義感に時に意固地になってしまったり、人を信じすぎるあまり失敗してしまうこともある。そして彼女の正義感の強さや意固地な一面が彼女を孤立させてしまっている部分もあるのだが、彼女は友人を欲し、彼氏を欲しがる素直な少女だ。

 アサの実直な性格をわかりやすく示しているのは、第12巻から13巻にかけて登場するユウコとのエピソードだろう。デビルハンター部への入部試験を機にユウコという友人ができたアサは、放課後にふたりで悪魔探しを敢行する。コウモリの悪魔からの強襲を受けたアサとユウコだったが、ユウコが足を負傷してしまう。アサに対しヨルはユウコを殺して武器にすることを提案するが、アサはユウコを抱えて逃げる。その後"正義の悪魔"と契約を結んでしまったユウコは、アサに対していじめを働いていた学校の生徒たちを皆殺しにしようと画策し、学校を破壊する。アサはユウコの悪事を止めたものの、最後まで友人でありつづけようとした。アサの友人思いな姿を味わえるこのエピソードは、ジャンプという雑誌が長年テーマのひとつにしている“友情”にも大きく繋がってくるものだろう。

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