『チェンソーマン』トラウマ必至のラブシーンも? デンジの恋愛遍歴を振り返る

『チェンソーマン』デンジの恋愛遍歴

マキマ

 欲望に忠実な筈のデンジだが、パワー、姫野、そしてレゼの3人との関係については常に逡巡し続けていた。それはマキマというデンジにとって絶対的な存在があったからだ。マキマはデンジにとっての上司でありながらも、デンジを公安に迎え入れた張本人だ。地獄のような生活を繰り返し、その果てにチェンソーの悪魔であるポチタと一体化したデンジにとって、マキマは初めて自分の存在を迎え入れてくれた女性で、度々彼女が発するミステリアスな言動にデンジは心奪われている。

 なによりもデンジがパワーや姫野、レゼとの関係に悩んだ時は、マキマが常にデンジにその先の道を提示していた。パワーの胸を触ったデンジが「こんなモン……?」と自分が思っていたほどの実感を得られなかった時も、マキマはデンジに相手への理解があってこそ性のコミュニケーションは気持ち良くなるのだと説いた。

  ファーストキスを姫野に奪われ、その味が吐瀉物となってしまったデンジに、マキマは自分が咥えていたコーラ味のチュッパチャプスを差し出しながら「デンジ君はこれから死ぬまでいろんな初めての味を体験する ゲロの味なんて思い出してる暇なんてないよ」と彼の未来を肯定した。レゼが死んだあと、それまでになく気を落としていたデンジを江ノ島旅行に誘ったのもマキマであった。これらのエピソードからも、デンジにとってマキマが如何に絶対的な存在であったかが分かるだろう。そしてそれ故にデンジは他の女性キャラクターたちとの関係性に悩み続けたのだ。

 そんなマキマの正体は支配の悪魔。自身への攻撃を他者に移すことができる能力で不死同然の存在となっていたが、デンジの策により敗北。デンジが彼女の身体を食べ尽すことで消滅するという最期を遂げた。この方法でマキマを消滅させたことについて、デンジは“愛”だと評している。そんなマキマだが、第2部ではナユタという少女の姿になって再登場し、デンジと共に生活をしている。

三鷹アサ

 第2部「学園編」から登場した三鷹アサともデンジは恋仲に近い関係となる。アサの身体を乗っ取っているヨルこと戦争の悪魔。彼女は自身の所有物だと認識した物や生命、そして人間を武器に変える能力を持っており、その対象をデンジに定め、デンジが自分を惚れるようにデートを画策する。水族館へふたりで出かけたアサとデンジだが、お互いにデートの経験が皆無だったこともあり、喧嘩をしてしまう始末。そんな中、地獄から復活した永遠の悪魔に水族館を支配されてしまう。

 このエピソードの終盤、アサの意識を共有できるヨルはこんなセリフを口にする。

 「なるほど この感情が恋か」

 『チェンソーマン』という作品を通してデンジと女性キャラクターの関係性は常に描かれ続けている。今後のアサとデンジ、そしてナユタとデンジの関係はどうなっていくのだろう。

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