『HUNTER×HUNTER』「クラピカ追憶編」発売で再注目……クルタ族の惨劇に隠された疑惑とは
※本稿は『HUNTER×HUNTER』のネタバレを含みます。
壮絶な復讐の運命に生きる『HUNTER×HUNTER』のクラピカ。彼の生き様の原点にあたるエピソード『クラピカ追憶編』が、7月4日に電子書籍として復刻された。そこでこの機会に、クルタ族の惨劇をめぐる“謎”を振り返ってみたい。
冨樫義博が『クラピカ追憶編』を世に放ったのは、2013年の「週刊少年ジャンプ」1~2号。その後、『劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影』の来場者に配布された0巻にも収録された。
大まかな内容としては、緋の眼の一族・クルタ族の里で暮らすクラピカが、村の外からやってきた女・シーラと出会い、運命が変わっていく……という流れだ。最後には幻影旅団が行ったとされる、クルタ族の虐殺についても触れられている。
なおシーラは当時謎に包まれた存在だったが、約10年後に本編で正体が明かされた。幻影旅団の結成秘話を描いた回想編にて、クロロたちの仲間として幼い頃のシーラが出てきたのだ。
そうなると、クルタ族の里にシーラが迷い込んだことが重要な意味をもつ。クロロたちの知り合いとクラピカが出会ってからまもなく、クルタ族が滅ぼされたことになるからだ。里の内側から幻影旅団に手引きを行い、惨劇を導いたとも考えられるだろう。実際にシーラは足の治療中に何度も転び、不自然に滞在期間を延ばしていた。
しかしそこで引っかかるのが、惨劇の現場に残された「我々は何ものも拒まない だから我々から何も奪うな」というメッセージだ。緋の眼を目的とした襲撃犯の言葉としては、違和感を抱かざるを得ない。
そもそもこのメッセージは、流星街の人々が街の外で迫害を受けた際、報復と共に残すものとして知られている。幻影旅団が故郷の流儀に則ったと考えればおかしくはないが、その場合はクルタ族が“加害者”という認識だったことになるだろう。
幻影旅団は何らかの経緯からシーラをクルタ族に殺害されたと考え、その報復として事件を起こしたのかもしれない。