『クロエマ』は“現代の隔たり”を言語化する物語? 「逃げ恥」海野つなみ最新作の魅力に迫る

『クロエマ』は“現代の隔たり”を言語化する

 そんな現代の隔たりに対しクロエは同情することも、寄り添うことも、ましてや熱いエールを送ることもない。占いで過去や未来への暗示はするものの、最終的にはその隔たりを生んでいるのは何なのか、どう折り合いをつけて生きていくのか。現代の隔たりを淡々と言語化していく方向へと帰結するところが読んでいてなんとも気持ちが良い。

 そして、その最中では意外とエマショーが活躍したりもする。それは互いの境遇も価値観も、何かも全く異なる......だからこそ見える気づき、隔たりの正体があるのだ。

「立場が弱いと嫌われないよう気を遣う、とはいえ自己主張もしないと生きていけない」
ーー『クロエマ』1話より

 エマショーのセリフには、まさに隔たりや歪さの根源を感じるような鋭さに富んでいる。

 現代社会の隔たりをなくす。それは今すぐに実現することは難しいことかもしれない。けれど、一つ一つ言語化していくことで縮めることはできるのだと。クロエとエマショー、友達でも相棒でもない.......関係性を形容する言葉が見つからないどこまでも平行線な二人が織りなす物語を見て新しい希望を感じた。

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