『名探偵コナン 黒鉄の魚影』オリジナルキャラは本編にも登場する? 灰原哀の過去を知るキーマンも

『名探偵コナン』映画キャラの本編登場

 現在全国の映画館で公開中の『黒鉄の魚影』が大ヒット中の『名探偵コナン』。公開から24日で興行収入が100億円を突破し、シリーズとしてだけでなく日本映画史上においても金字塔を打ち立てた作品となった。

 映画が大きく話題となっている中、『週刊少年サンデー』にて連載中の原作コミックも物語は佳境へと突入。黒幕である黒の組織のNo.2であるラムの正体が明らかになったことで話題となっている。

 そんな『コナン』は近年、劇場版と原作コミックが一体となってストーリーが展開するケースが数多く存在する。例えば劇場版第18作『異次元の狙撃手』では、当時劇中で亡くなったとされていた赤井秀一が別のキャラクターに扮して生きていることが原作コミックに先駆けて示唆された。赤井秀一は作中屈指の人気キャラであり、彼の復活は物語に大きく関わる出来事であった。こうした点からも『名探偵コナン』という作品は原作を第一とするスタイルというよりは、各メディアが肩を並べ一体となって作品を作り上げる土壌が出来上がった類稀なスタイルのシリーズと言えるだろう。

 そんな各媒体が一体となって作品が展開する『名探偵コナン』最大の特徴は、アニメや劇場版のオリジナルキャラクターが原作コミックに逆輸入的に登場し、レギュラーキャラクターとして定着してしまう点だ。例えば劇場版第1作『時計じかけの摩天楼』で初登場した白鳥刑事。『時計じかけの摩天楼』では容疑者のひとりとして描かれた白鳥を、作者の青山剛昌が気に入り、やがて原作にも登場するようになった。原作での登場当初は同僚の佐藤美和子へアプローチし、高木渉と佐藤の恋路を邪魔するキャラクターであったが、現在はコナンや少年探偵団の担任である小林澄子と恋愛関係となった。1作目の段階から劇場版のオリジナルキャラクターを積極的に原作へも登場させる青山剛昌の手腕に驚かされると共に、そんな青山の作品だからこそ各媒体が肩を並べたメディアミックスが展開できるとも言えるだろう。

 劇場版第21作『から紅の恋歌』から登場した大岡紅葉も劇場版から原作に逆輸入されたキャラクターだ。劇場版のために登場したキャラクターでありながら、劇場公開に先駆けて原作にも登場したことでも話題となった。これも映画と原作マンガが相互的に作用し合っている『コナン』ならではのアプローチと言えるだろう。紅葉は人気キャラクター・服部平次の自称婚約者として登場し、その後も服部の幼馴染である遠山和葉の恋敵として原作コミックに度々登場している。また『から紅の恋歌』でのエピソードについて原作でも示唆されるなど、劇場版と原作のストーリーは一種のパラレルではなく地続きであることが本作と大岡の登場によって示唆されたことも本シリーズの特殊なメディアミックスを語る上で重要な点だろう。

 劇場版第6作『迷宮の十字路』で登場した京都府警の警部、綾小路文麿も劇場版から原作へ逆輸入されたキャラクターだ。『迷宮の十字路』では『時計じかけの摩天楼』における白鳥と同様、容疑者のひとりとして小五郎に嫌疑をかけられる人物として登場。一見堅物に見えるが、実はペットのシマリスを連れているなどコナンシリーズの中でもかなりの異色の人物。そんな綾小路は『迷宮の十字路』以降も、特に京都が舞台となる劇場版作品において定期的に登場し続け、遂に16年越しに原作コミックにも登場。新一と蘭の恋慕が結実したことでも話題となった『紅の修学旅行編』に登場し、ファンを驚かせた。

※次ページからは映画『黒鉄の魚影』のネタバレを含みます

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