五条悟や狗巻棘もハジケリスト?『呪術廻戦』に仕込まれた『ボボボーボ・ボーボボ』への愛

五条悟や狗巻棘もハジケリスト?

 『呪術廻戦』の作者・芥見下々は、「週刊少年ジャンプ」の漫画から大きな影響を受けたことを公言している。とくに『BLEACH』などのバトル漫画を強くリスペクトしているようで、その想いがパロディやオマージュといった形で表現されてきた。

 しかし芥見が引用しているのはバトル漫画ばかりではなく、意外な作品もインスピレーションの源泉になっている。それは澤井啓夫の伝説的ギャグ漫画『ボボボーボ・ボーボボ』だ。

 『呪術廻戦』を注意深く読んでいる読者は、さりげない描写の端々に、“ボーボボ”ネタが仕込まれていることに気づくだろう。

 代表的なエピソードは、コミックス3巻に収録されている第19話。映画館で虎杖悠仁を襲う改造人間の1体が、「いいい゛~い せんざい」と呟いている。このセリフは、『ボボボーボ・ボーボボ』の7話でボーボボが首領パッチを誘い出すために放った「いい洗剤ありますよ」が元ネタだ。

 たんなる深読みだと思われるかもしれないが、2021年3月に発売された『呪術廻戦 公式ファンブック』では、芥見自身がパロディを認めている。各話解説の章で、同エピソードについて「改造人間の『ボーボボ』ネタ、誰か気づきました?」と言及していた。

 そのほかにも、分かりやすいオマージュとしては、「ジャンプフェスタ2019」で行われた「最速!キャラクター人気投票」の結果発表が挙げられるだろう。

 ランキング上位に入った呪術高専メンバーがそれぞれにセリフを放っているのだが、明らかに『ボボボーボ・ボーボボ』でもっとも有名なネタの1つ、“全員ボーボボ”の人気投票を意識したものだった。

 こうした描写から見るに、芥見が大の『ボボボーボ・ボーボボ』ファンであることは間違いない。ほかにも作中には、いくらでもオマージュらしき描写を見出すことができる。

例を挙げるなら、狗巻棘の代名詞である「しゃけ」というセリフは、『ボボボーボ・ボーボボ』の3話に登場したバンドが歌っていた「シャケ」と合致する。さらに18話では、ボーボボが食べ物の名前だけで意思疎通するシーンがあり、おにぎりの具だけで会話する狗巻と共通点を見い出せそうだ。

 さらに『呪術廻戦』の149話で呪霊たちが呟いていた「がたぼん」「ぴろぴろぴろぴろ」なども、よく似たフレーズが『ボボボーボ・ボーボボ』16話にあった。なお、元ネタの方は正確には「ガダボン」となっている。

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