『るろうに剣心』キャラ名は新潟県の地名がモデル?  作者・和月伸宏の郷土愛

『るろうに剣心』キャラ名は新潟県がモデル?

 2023年7月からアニメ「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」がはじまる和月伸宏の漫画『るろうに剣心』(以下、『るろ剣』)といえば、幕末に人斬り抜刀斎と恐れられた緋村剣心が明治時代を舞台に活躍する物語だ。その主要なキャラクターの名前は新潟県の地名から取られていることをご存じだろうか。

 なぜ新潟県なのか。それは作者の和月が新潟県出身であるためだろう。和月は新潟県三島郡越路町(現在の長岡市)の生まれで、地元の長岡高校在学中に新人賞を受賞、デビューを果たしている。その後、連載に向けて『るろ剣』キャラの名前を考えているとき、子どもの頃から慣れ親しんできた地名が浮かんだのだろうか。

 メインキャラクターの一人の明神弥彦だが、新潟県民にはおなじみの弥彦山や弥彦神社、弥彦村にちなんでいる。また、牛鍋屋の「赤べこ」の三条燕は、三条市、燕市に由来する。ちなみに高速道路のインターチェンジはキャラの名前と同じ三条燕だが、上越新幹線の駅は燕三条駅で三条と燕の順番がひっくり返っている。こうなった経緯には様々な大人の事情が絡んでいると言われるが、その話を書くと別の記事になるのでこのへんでやめておきたい。

 なお、燕三条駅ではいたるところで「三条」「燕」、さらに「弥彦」などのキャラの名前が見られる。『るろ剣』ファンなら一度は途中下車するべき駅といえよう。

 長岡市は和月が過ごした町ということもあって、縁の深い地名が多い。ヒロインの神谷薫は長岡市にある神谷地区、「赤べこ」の関原冴は関原町、四乃森蒼紫は悠久山にある蒼柴神社に由来するとされる。また、この悠久山の名がつくのが志々雄一味の悠久山安慈である。

 他にも、志々雄編から登場するヒロインの巻町操は西蒲原郡にあった巻町(現在は新潟市)が名前のもとになっている。自治体としての巻町は市町村合併で消滅したが、越後線には巻駅が存在する。そんな巻町操の育ての親にして、京都の「葵屋」の“翁”こと柏崎念至は柏崎市にちなんでいる。

 いかがだろうか。こうした名前の由来を紐解いてみると、和月の強い郷土愛を感じずにはいられない。また、新潟県は高橋留美子や水島新司など、多くの漫画を輩出している漫画の町でもある。名作漫画、そして漫画家ゆかりの地にぜひ出かけてみてはいかがだろうか。

©和月伸宏/集英社・「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」製作委員会

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