『チェンソーマン』は“背景描写”も面白い シャレや謎の数列など、頻出するモチーフを紹介
「時代」を感じる描写も
また9巻の第75話「9.12」で銃の悪魔が日本を襲ったタイミングとして“1997年9月12年”と記載されているため、本作の時代設定は1990年代後半であると考えられる。昭和や平成を彷彿とさせるデザインの駅名標、現代ではほとんど使用されていない黒電話などが作中で登場していることも、一例として挙げることができるだろう。
しかし第1部「公安編」ではソ連の存在を確認することができるものの、私たちの世界では1991年に解体されているためこの仮説とは矛盾が生じる。ゆえにインターネット上では本作の時代設定においてもさまざまな考察が繰り広げられている。単に「そういう設定のフィクションだから」とも考えられるし、悪魔の消滅により人々の記憶から消えた何かの影響により、現実の世界線とのズレが生じているのかもしれない、とも考えることができ、この辺りも考察する楽しさのあるところだ。
本作の背景には遊び心を感じる描写だけでなく、作品を深く考察するための材料となるような描写も多い。ファンの間でも議論は尽きず、これも最新話を楽しみに待ってしまう所以と言えるだろう。