俳優・井上祐貴 地元・広島の撮影で発見した“新しい世界”「まだ知らない自分が眠っている気がする」
2019年放送『ウルトラマンタイガ』の工藤ヒロユキ役でテレビドラマ初主演を果たし、映画『明け方の若者たち』(2021年)、フジテレビ系連続ドラマ『silent』(2022年)など話題作に多数出演。現在、最注目の俳優・井上祐貴が2月3日にファースト写真集『いま』(KADOKAWA)を発売した。地元の広島を舞台に2泊3日をかけて撮影された本作には、故郷ならではの素顔から、モードな衣装を身に纏ったキレのあるカットまで、26歳の“いま”が存分に収録されている。
サイクリング、ソロキャンプ、フットサル……。のどかな広島の風景に写っているのは、誰かの役を演じている姿ではなく、彼自身のパーソナルな姿。迫力あるカットにドキッとしたかと思えば、ふと垣間見えた少年のような笑顔に、これまで彼が歩んできた人生を思う。俳優として頭角を現し始めた“いま”のタイミングで写真集を出すことに、彼は何を感じているのだろうか。聞くと、どんな質問に対しても真剣な声音で答えてくれた。(とり)
“素の自分”を詰め込んだ一冊に
井上:ありがとうございます。写真集は、憧れの先輩俳優の皆さんが一度は必ず出されているイメージがあったので、自分の中で目標のひとつにしていたんです。マネージャーさんから話を聞いた時は、普段通りのテンションで「分かりました」とリアクションしましたけど、内心はガッツポーズしていたくらいです(笑)。
――それほど念願だったとは! 制作を進めるにあたり、井上さんからも何かご提案はされたんですか?
井上:そうですね。結構、僕からもアイデアは出させていただきました。まず、撮影場所として「僕の地元である広島県で撮るのはどうですか?」と。諸々事情もあるでしょうし、他の候補地もあった中での一意見として言わせてもらったのですが、実現してくださったスタッフの皆さんには感謝しかありません。それで「せっかく広島で撮るなら……」と、加えて具体的なシチュエーションも一緒に相談をさせていただきました。
特に僕が撮ってもらいたかったのは、食事のシーン。「広島といえばお好み焼きだろう」ということで、鉄板があるお店をお借りして、実際につくるところから撮影していただいたんですよね。地元にいた頃は、よくホットプレートで親父がつくってくれるのを手伝っていたので、広島ならではのページになったんじゃないかなぁと思います。あとは、趣味のサイクリングやキャンプのシーンも入れてもらいました。そういった“普段はなかなか見せられない素の自分”を詰め込んだ一冊にしたいってところから、全体のバランスを見つつ、少しカッコつけた姿も撮っていただくなど、みんなで構成を考えていった感じですね。
――なるほど。主なテーマは「素の自分」ですか。おっしゃる通り、お好み焼きを焼いているシーンはグッときましたよ。それまでずっとセットされていた前髪が下ろされていて、一気にオフの瞬間を見させてもらった気になったんですよね。
井上:確かに、写真集のなかで唯一と言っていいほど何もしていない状態の髪型なので、わりと新鮮かもしれません。ほぼ素の状態に近いと思います。もうひとつ素が出ている瞬間といえば、フットサルのシーンも見ていただきたいです。僕、広島にいた頃からサッカーを18年続けていて。そのゆかりで撮っていただいたシーンなんですけど、この時だけはカメラを忘れて身体を動かしていましたし、ちょうど昨年8月末の真夏日に撮影したこともあり、今までの現場ではお見せしたことがないくらい、汗だくになっているんですよね(笑)。
――あはは。そう言われて見ると、いつもの爽やかな印象とは少し違いますね。
井上:僕、汗の流れをコントロールできるんですよ。「具体的な方法を伝授してくれ」って言われても仕組みは分からないですけど、汗で衣装を汚したくないし、気温に反して暑そうな表情が適さない場面も多々あるので、だいたい撮影中は、汗が垂れてこないよう意識的に抑えていて。写真集を撮影していた3日間も、ずーっと汗を我慢していたんですね。そのなかでフットサルのシーンは、いちばん最後の撮影でした。「運動している姿を撮るわけだし、もう汗を我慢する必要はないぞ」と意識を緩めた瞬間、一気にダーッと溢れ出てきて。着ているオレンジ色のTシャツが絞れるくらい、3日分の汗を出し切った感覚があったんですよね(笑)。
――えーっ! そんな特殊能力があるんですか!?
井上:俳優界には意外といらっしゃるんですよ。汗をコントロールできる人(笑)。何でなんでしょうね……?
――お芝居をするには便利な能力ですけど(笑)。と、実際に「素の自分」がたくさん写った本作をご自身で見られてみて、何か発見はありましたか?
井上:「俺、普段はこんな顔をしているんだなぁ」って発見の連続でした。それこそ、サイクリングやキャンプをしている時の表情なんて自分では見られないですし、馴染みのある場所で好きなことをしているというのに、一枚一枚の写真はどれも“初めて見る感じ”がしたというか。それだけ本作には、“俳優・井上祐貴”ではないプライベートな瞬間が切り取られているんだと思います。僕ですら“発見”なんですから、ファンのみなさんからすれば、意外性のある表情ばかりの仕上がりになっているはずです。