「週刊ザテレビジョン」休刊 テレビ情報誌の役割は終わってしまったのか
KADOKAWAが発行し、1982年の創刊以来40年の歴史をもつ老舗のテレビ情報誌「週刊ザテレビジョン」が、3月1日発売号をもって休刊することが決まった。今後は「月刊ザテレビジョン」と統合を図り、3月24日からは新たな「月刊ザテレビジョン」としてリニューアルされる。
同誌はレモンを持った著名人の写真でお馴染み。日本雑誌協会のデータによれば、2022年7月~9月の平均発行部数は約9万5000部。ジャニーズなどのアイドルが表紙の号は表紙目当てで購入する層も一定数いたが、部数の凋落を止めることができず、休刊に追い込まれてしまった。今後はWEBメディアを拡充させていく意向という。
テレビ雑誌の休刊は続いている。最近ではマニアックな誌面で知られた「テレビブロス」が2020年に、大河ドラマの情報などに強みを持っていた「NHKウイークリー ステラ」も、昨年3月30日発売の4月8日号をもって休刊になっている。
ところで、「テレビは見ない、YouTubeの動画ばかり視聴している」という若者も多く、テレビ離れが叫ばれているが、テレビの影響力は決して衰えてはいない。インターネットではテレビ番組の話題でいまだに盛り上がっているためだ。大河ドラマが放送されると、Twitterでハッシュタグがつけられて、大量に感想がツイートされている。アイドルを使ったテレビCMもネットで話題になるし、テレビの人気は健在であるといえる。
しかしながら、テレビ番組の情報の入手先はネットに頼っている人が大半ではないか。そもそもテレビをつければ番組表が出てくるため、雑誌に頼る必要がなくなってしまったといえる。刊行のペースも、週刊ではもはや情報が遅いと捉えられてしまっているのだろう。
少し前の世代なら、大晦日や正月に合わせてテレビ雑誌を買い求めた人も多かったはずだ。気になるテレビにマジックで丸をつけたり付箋を貼ったりして、紅白歌合戦や年末年始の特別番組の放送を待つ光景もあったと思う。そういった紙媒体ならではの楽しみ方は、次第に失われ、ネットに替わられてしまったようだ。
今後は「月刊ザテレビジョン」に集約されていくということで、内容のさらなる拡充が期待される。しかし、テレビ情報誌はネットで入手ができない、情報以外の面でクオリティーの充実を図る必要があるだろう。あらゆる雑誌に言えることだが、ネットとの差別化を図ることが生き残る鍵といえる。