『HUNTER×HUNTER』連載に追いつくには「30巻から」の再読がオススメ “○○編”の巻数を振り返る

 「週刊少年ジャンプ」で約4年ぶりに連載を再開し、最新37巻の売れ行きも好調な『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)。現在は大きく、世界の外に広がる「暗黒大陸」を目指す巨大な船と、その中で争われている「カキン王国王位継承戦」が進行しており、その複雑な内容から、コミックスを読み返して“復習”するファンが増えている。というより、待望の連載をリアルタイムで楽しむためには、再読はほぼ必須と思われる展開だ。

 とはいえ、1巻から37巻までを通読するには、それなりの時間がかかる。現在進行形で進んでいる物語を理解するだけなら、ハンター協会の会長選挙あたり、単行本30巻以降を読めば十分だろう。しかし、そうこうしているうちにキメラアント編の緊張感を味わいたくなったり、G.I.(グリードアイランド)のゲーム性あふれるバトルを再読したくなるのが、漫画好きというもの。本稿ではアニメ公式の設定に合わせ、「ハンター試験編」「ゾルディック家編」「天空闘技場編」「幻影旅団編」「G.I.(グリードアイランド)編」「キメラアント編」をそれぞれ振り返りたいときの「巻数」をまとめておきたい。

 物語の冒頭、「ハンター」という存在や世界の謎へのワクワクが止まらない「ハンター試験編」は、1~5巻まで。この辺りは幾度となく読み返している、という人が多そうだが、現在進行している物語のキーマンのひとりになっている「ヒソカ」が序盤でどう描かれているか、ということにあらためて着目してみるのも面白そうだ。

 5巻は内容が濃く、ゴンたちがキルアの“実家”を訪ねる「ゾルディック家編」を挟み、“念能力”の詳細が明かされ、バトルが飛躍的に面白くなっていく「天空闘技場編」がスタートする。ここでもヒソカの存在感が大きく、むしろその姿が見えない「キメラアント編」が例外的だったことにあらためて気づく。天空闘技場を舞台にした物語は、7巻まで続く。

 念能力の存在を下敷きに描かれる「幻影旅団編」は、8巻から13巻まで。最新の展開にも深くかかわるクラピカと幻影旅団の因縁が描かれており、バトルも多めなのでサクサク読み進めたい人は、この辺りから再読するのもいいだろう。念能力の多様性も増していき、強さの概念が複雑な“能力バトル”が加速していく。

 そして、冨樫義博の緻密な構成力とゲーム好きな一面が爆発した「G.I.(グリードアイランド)編」は、13巻から18巻まで。コミックスにまとめられた「カード」の設定を読むだけでも面白く、自分だったらどのアイテムを現実に持ち帰るか、と考えるのも楽しい。

 さらに、少年漫画のひとつの到達点とも思える、「キメラアント編」は18巻から 30巻にかけて展開される。人間を含む、捕食した生物の性質を獲得し、進化していくキメラアントと、ハンターたちのバトル。この辺りから、主要キャラクターでもあっさり退場するという緊張感があり、ハンター協会会長・ネテロと、蟻の王・メルエムの戦い、美しくも残酷な結末も含めて、『HUNTER×HUNTER』を名作に押し上げたエピソードだと言える。

 こう振り返ってみても、やはり「キメラアント編」までは、内容をしっかり覚えている読者が少なくないように思える。冒頭に書いたように、とりあえずは「30巻以降を読む」ことで、最新の展開についていけるようになる読者が多いと考えられるが、時間があるときにお気に入りのエピソードを楽しみたいところだ。

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