浦沢直樹、『PLUTO』ゲジヒトを手描き&色塗りする動画を公開 海外ファンからもコメントが殺到中

 漫画家の浦沢直樹氏が10月28日、自身の公式YouTubeチャンネル「浦沢チャンネル -URASAWA CHANNEL-」を更新。『鉄腕アトム』のエピソード「地上最大のロボット」を原作とした人気作『PLUTO』の電子版解禁を記念して、同作の主人公となるドイツの刑事ロボット・ゲジヒトをアナログ色塗りで描く様子を公開した。

 2021年4月、「『漫画』を起点にした様々な動画を発信する」として開設された、同チャンネル。動画の公開本数こそ現在まで8本と多くないが、『MONSTER』Dr.テンマをモチーフにスクリーントーンの貼り方を解説したり、『MASTERキートン』風のコマ割りを自ら描画して見せたりと、漫画ファン垂涎のコンテンツを提供してきた。

 そして今回は冒頭に記したように、芸術性の高い作品としていまも愛され続ける『PLUTO』から、ゲジヒトを描くことに。デジタル全盛の時代に、手描きで彩色する様子を見せるという、豪華な内容となった。

浦沢流、手描き色塗りの方法をお見せします。How to color by hand in Urasawa style: Drawing and Coloring "PLUTO" 's Gesicht

 詳しくは動画をチェックしていただきたいところだが、冒頭、浦沢氏は本作を手がけることになった経緯を語っている。2003年の鉄腕アトム生誕(作中で、アトムが生まれたのが2003年とされる)を漫画界全体で祝うため、手塚プロダクションから相談を受けた際に、「何を思ったか、ちょいとしたワンポイントのイラストを描いたり、パロディ漫画を描いたり、そういうことで済ませていいのかな、と偉そうに言ってしまった」そうだ。

 そのなかで、『鉄腕アトム』を「日本漫画の礎となった作品」として敬愛する浦沢氏は、「『地上最大のロボット』をリメイクするくらいの、気骨のある漫画家はいないもんかね」とこぼしてしまう。大それたことと思いながらも、結局、自身で描くことになった、というのがことの経緯だという。

 そんなエピソードトークの後、キャンバスに向かう浦沢氏。レジェンド級の作家がペンを走らせる様子をじっくり観られるというのは、動画時代ならではのよろこびだ。そして色塗り。デジタルであればいくらでも塗り直しが可能だが、手塗りではそうはいかず、一発勝負の緊張感が漂う。絵筆を使い、陰影や肌の質感まで細やかに表現していく様子に、思わず息を呑んでしまう。“浦沢カラー”の極意も解説されているので、ファンや漫画家・イラストレーターを目指すクリエイターは必見の内容だと言えるだろう。

 浦沢氏のチャンネルで公開されている動画は英語字幕に対応していることもあり、「This is pure gold」「I really like his art style」など、海外からもコメントが殺到している。ヒット作の多い浦沢氏のこと、次はどんな作品について語り、どんなキャラクターを描く様子を見せてくれるのか、今から楽しみだ。

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