女優・高田里穂11年ぶり写真集『完成された未完成』「今まで生きてきた自分が全部そこにいる」
故郷・久留米で感じた思い
──「見せたくない自分」が写っているのは、読者からするととてもいいなと思いました。
高田：インスタグラムなどのSNSでは見せたい自分だけ見せればいいですけど、この写真集は自分だけのものではないですから。カメラマンの貫さん、ヘアメイクさん、スタイリストさん、編集者さん、そして私というみんなの意志が詰まっている作品なので。芸術作品というか、1つの物語を形にしたような、何回も見たくなるような、見ても見ても終わりがない写真集になっていると思います。
──沖縄と出身地の久留米で撮影された写真集ですが、それぞれのロケ地での忘れられない出来事があれば教えてください。
高田：沖縄の渡嘉敷で見た星空が本当にきれいで、忘れられないですね。真っ暗で星だけが光っていて、天の川がはっきりと見えるんですよ。それを、スタッフさんたちとじーっと見ていたあの景色は、心の中の宝物です。
久留米での撮影では、飛行場のシーンが福岡空港だったので、両親が見に来てくれました。だから、飛行場のカットでは「あ、見られてるな」と思いながら撮影してます（笑）。両親に見られながらの撮影は初めてで、不思議な感覚になりました。東京からのスタッフさんと私の家族が同じ空間にいて、空を見ると飛行機が飛んでいて。ちょうど誕生日の前の日だったこともあって、なんだか過去と未来の分岐点にいるような気がしました。故郷と今暮らしている東京がリンクして、今まで生きてきた自分が全部そこにいるみたいな。あれは、なんていう感情なんだろう。
──久留米での撮影も、高田さんからの提案ですか？
高田：はい。せっかくの写真集なので、思い入れの深い場所で撮りたいと思ったら、やっぱり地元の久留米になるんですよね。思い出深い西鉄電車や、帰省したら必ずお参りに行っている高良大社で撮影しました。久留米で撮りたかった場所は、全部巡らせていただいたと思います。
──久留米は、高田さんにとってどういう場所ですか？
高田：ほっとすると同時に、寂しい印象も抱く場所です。生まれ育った場所だし、幸せな経験もいっぱいありましたけど、虚無感や閉塞感を感じることも多かったです。私はこのままずっとここにいるんだろうか、もっと広い場所に行きたいって、どこか殻の中にいるような、子どもながらにそういう感情で生きていたんです。もちろん帰って家族にもワンコにも会いたいし、大好きな街ではあるんですけど、思い出すのは子どものときの虚無感や閉塞感といった感情なんですよね。そういう意味では、東京でジャンプするためのバネになっている場所、ずっと何かに対して踏ん張っていた場所なのかもしれません。
高田：子どものときからこの仕事を頑張ってきて、鋼のような意識で鉄壁の自分じゃなきゃいけないと鎧をつけて、生きてきました。でも、この写真集のように、もうそういう自分を自分から開放してあげたいなと思っています。だから、こうあるべき自分ではなく、そのままの自分で楽しく活動していきたいです。演技のお仕事以外にも、しゃべることが好きなのでバラエティ番組に出演したいですし、声を褒めていただくことが多いのでラジオやナレーションのお仕事もしてみたい。制限せずにいろんなことに挑戦していって、本当に自分のままでなんでもゆるりと乗り越えられる人になりたいです。
──今回の写真集を通して、より自由になれたのかなという印象です。
高田：それは間違いないです。水着や下着での撮影はこれで最後という意識で挑みましたし、ここまで見せているから、もう何も怖くない（笑）。見せたくない自分も見せたことで、もうなんでもできるんじゃないかっていう自分がいます（笑）。
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