声優・石見舞菜香×DREノベルス編集長・小原豪が語る、動画「出版・アニメ業界の裏側」の狙い

石見舞菜香×DREノベルス編集長 対談

 自分の好きなことやメッセージをショートムービー形式で気軽に発信できるプラットフォームTikTok。そんなTikTokで今、漫画やアニメ、小説などのエンタメ好きなユーザーから密かに注目を集めているアカウントがある。

 その名も「出版・アニメ業界の裏側」。アニメ化が決定するまでの流れ、アニメの2期の決まり方……など、漫画やライトノベル、アニメ好きなら思わずスワイプする手を止めて見入ってしまうコンテンツばかり。今年の6月に投稿を開始し始めたにも関わらず、なかには20万再生を超える動画も出てきており、その注目度の高さがうかがえる。

 その正体は、株式会社ドリコムの出版・映像ブランド「ドリコムメディア」が運営するオフィシャルTikTokアカウント。動画の内容はもちろん、人気声優・石見舞菜香と編集長・小原豪による、軽快でユニークなやり取りも見どころの一つだ。

 今回は、そんな二人に「出版・アニメ業界の裏側」を始めたきっかけや制作の裏側、そして10月7日にドリコムメディアから創刊されるライトノベルレーベル「DREノベルス」の見どころをうかがった。(ちゃんめい)

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「業界全体に良い影響を与えたい」ドリコムがTikTokを始めた理由

左・小原豪、右・石見舞菜香

――まず、「出版・アニメ業界の裏側」を始めたきっかけを教えてください。

小原:ドリコムは今年の5月にWebtoonやライトノベル、コミック、アニメーション事業を展開する出版・映像ブランド「ドリコムメディア」を立ち上げたのですが、やはり業界としては後発参入なので。プロダクトの宣伝活動は後々に課題になってくるだろうなと思い、TikTokに着目しました。

 ですが、やっぱり業界に参入する以上は、自分たちだけが売れれば良いというわけではなく、業界全体に少しでも良い影響が与えられたら良いなと。それこそ、前職が出版社だったのですが、作り手を支える編集者など“中の人”が、一時期より集まりづらい状況になってきていると感じていたんです。

 だから、業界を盛り上げるためにもっと中の人を増やしたい、そのためには少しでも多くの方々に出版・アニメ業界に興味を持っていただけるような情報を発信していきたいなと。

――コメント欄で視聴者から質問が多数寄せられていたり、視聴者同士で盛り上がっている様子を拝見しました。興味関心を引くのはもちろん、視聴者とのコミュニケーションが活発なところが印象的でした。

小原:コメントをいただけるのは本当にうれしいですね。もともと一方的に業界の情報を発信するのではなく、視聴者さんとコミュニケーションが取れるコンテンツにしたいと考えていたんですよ。

 例えば、ライトノベルや漫画の作者・編集は、TwitterなどのSNSを通じて読者さんとコミュニケーションを取っていたりして、すごく距離が近いじゃないですか。その距離の近さを保ちながらも、何か別の切り口はないかな?とずっと考えて、最終的に「出版・アニメ業界の裏側」という形に辿り着いたんです。

大人気声優×編集長コンビの誕生秘話

――“裏側”に勝機を見出したんですね。小原編集長と大人気声優の石見舞菜香さん。このコンビはどういった背景から誕生したのでしょうか。

小原:まず、私が出演している理由は動画に説得力を持たせるためです。さすがに編集長と名乗る人が言っている情報なら嘘ではないだろうと(笑)。初めて動画を見る方も信頼して楽しんで下さるんじゃないかなと思っています。

 石見さんを起用させていただいた理由に関しては、まず、動画を見ている視聴者さんが自分と重ねる存在……いわゆる“等身大のユーザー像”を体現して下さる相方を探していたんです。

 それで、彼女の声優としてのお芝居はもちろんですが、ご自身が出演されている番組も拝見したところ、まさに私たちが求めるユーザー像に近かったんですよね。あと、読書が趣味というところもライトノベルレーベル「DREノベルス」を創刊する私たちと親和性が高いなと。

――「出版・アニメ業界の裏側」出演のオファーをもらった時、石見さんのお気持ちはいかがでしたか?

石見:あの有名なTikTok!? って驚きました(笑)。今までTikTokにはあまり触れてこなかったので、撮影風景や完成イメージの想像が全くつかなくて。本当に未知の世界でした。でも、現場の皆さんがすごいあたたかくて、小原編集長もチャーミングな方なので、毎回楽しくやらせていただいています。

――TikTokの撮影は、普段の声優のお仕事とはまた異なる難しさがありそうですね。

石見:表情作りに苦労しています。例えば、「困った〜!」って演技する動画があるのですが、困った顔ってどうするのかな? とか。なんだか表情が動かないんです。もしかしたら表情筋が硬いのかもしれません(笑)

 あと、声優のお仕事は、台本を見ながらお芝居をすることが多いのですが、TikTokは事前に台本を覚えてセリフを言う……そういう経験が初めてだったので試行錯誤しながらやっています。

――石見さんの新たな一面が見れるということですね。周囲の反響はいかがですか?

石見:やっぱり普段は声をお届けする仕事が多いので、こうして私が表に出るのはすごく珍しいことなんです。だから、いつも応援して下さっている方たちからは、レアな姿が見れて嬉しいってお声をいただきます。

 あとは、「出版・アニメ業界の裏側」が面白いって動画の内容を褒めていただくこともあります。アニメ化が決まるまでの流れとか、ライトノベルが完成するまでとか。そういう裏側の面白さをファンの方々も一緒に体験しているんだと思うと嬉しくなります。

当たり前をリセットする!? TikTok動画制作の裏側

――動画はどのようにして作成されているのでしょうか。

小原:まず、社内で台本を作成して、その後の撮影と編集は外部の方にサポートしていただいています。台本が完成したら私と石見さん各々確認して、リハーサルはせずにもうぶっつけ本番。全文暗記して一気に喋るのではなく、セリフを細かく区切って、一文喋っては止める……という感じで撮影しています。 

――アニメの制作会社の決まり方、アニメのOP・EDの決まり方など、アニメや漫画ファンの興味関心を引くネタはどこから生まれるのでしょうか。

小原:チーム全員でネタ出しを行っているのですが、その時に“自分達の当たり前は、他の人にとっては当たり前ではない”を合言葉にしているんです。

 ドリコムメディアは、出版社や映像制作会社出身の人間が多くて、そうなると出版・アニメ業界の知識は自分たちにとって当たり前であることが多いんですよね。どれだけその“当たり前”をリセットできるのか、チームみんなで意識してネタ出しを行っています。

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