「おじさん構文」が話題に 改めておじさんの“かわいさ”にフォーカスしたベストセラー図鑑に注目
「おじさん構文」(一部の中高年男性世代がLINEやメールで使いがちな文章)がTwitterでトレンド入りし、再注目されている。過去にもたびたびニュースやネット記事に取り上げられ話題になってきた「おじさん構文」とは何か? おじさんも、おじさんでない人も、知っていれば、ちょっと生きやすくなるかもしれない。
当初、マイナスイメージのおじさんが使う文章例としてSNS上で晒され、その名が付いた「おじさん構文」。
ところが、次第におじさん構文を作成し、友人とのコミュニケーションに取り入れるなどして“楽しむ”人々が登場。数年前から若い世代を中心に広がりを見せているという。
テレビ朝日「モーニングショー」でおじさん構文について特集された際には、そのポイントが「①無駄に絵文字・カタカナを使う」、「②聞いてないのに近況報告」、「③脈絡なく褒める・余計な一言」と解説された。同番組内で、おじさん構文について印象を尋ねられた女子大生は「おじさんの文章は頑張っていてかわいいと思う」、「でも本物のおじさんから来たらキモい」とコメントしている。
おじさん構文の根底には、中高年男性の「若い世代とフランクにコミュニケーションがしたい」というピュアな思いや、頑張りが見て取れる。
一方で、どこか空回りしてしまっていたり、一方通行だったりする“欠点”があるところが、おじさん構文をおじさん構文たらしめるエッセンスであり、魅力でもあるのだろう。
そして、おじさん構文を無自覚に常用している当人たちは、おじさん構文という言葉も、それを取り巻く現象も知らないかもしれない。
人はそうした完璧でないどうしようもない一面を、ふと“かわいい”と感じるのかもしれない。
そんなおじさんの魅力にいち早く注目した本が、イラストレーターのなかむらるみ氏(1980年生まれ)が著した『おじさん図鑑』(小学館)だ。発売は2011年。発売から更にさかのぼり約4年に渡る観察と取材から、「趣味を極めるおじさん」、「いやらしいおじさん」、「スポーティなおじさん」、「おじさんの基本シャツ紹介」、「二人組のおじさん」……など、約50種類におじさんを分類して解説した(+コラム収録)大著である。
その膨大な制作時間とアウトプットには敬服するばかりだが、麗しき20代女子だった著者を突き動かす魅力が、どこかおじさんにはあるのだ。そこを本書で見極めてみるのもよさそうだ。
(筆者も『おじさん図鑑』の公式LINEスタンプを愛用しているが、なかむらるみ氏の描くおじさんは、やはりどこか愛らしく、自分の将来像すら想像してしまう)
若者だと思っていた自分も、気づけば、おじさん・おばさん世代である。Z世代は、これまでとは、まったく違う価値観をもった人々であることも、自覚していかなければならない。
いつしか、自分の属している世代のコミュニケーションが、おじさん構文“化”するかもしれない。
おじさん構文をきっかけに、自らを内省し、周囲への想像力を働かせることで、気づくことがあるかもしれない。かわいいと思えるか、はたまた、思ってもらえるか。それはとても大切なことだ。