浅野いにお『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』完結へーー「終わりなき日常」はどこまで続く?
本書によると多くの専門家が日本のターニングポイントとして挙げた「3.11」のあとにも前述した若者の「終わりなき日常」は続いているという。この話は1巻「第1話」で門出が語ったと推測されるモノローグの内容と一致する。
大人の偉い人たちは、
「あの日」から何もかもが変わってしまったと言っていたけれど、
私はむしろ、
何も変わらないその日常が少し不満であって、
浅野氏が本作で描いた、先行きが不透明ななか大震災が起こった時代で若者が抱えていた心情のリアルさこそ、本作の大きな魅力であろう。
ちなみに上記のモノローグには続きがある。
でもそれはそれで
ひとつの幸せだったんだと、
今となっては、
そう思います。
このモノローグがいつの時点から語られたものかは不明だ。ただ本作では“人類終了”までのカウントダウンが明確に提示され、日常が終わることを示している。したがってモノローグにおける“今”は人類が“終了”したあとの時代であると推測できるだろう。
きっと、わたしたちの時代にも「終わりなき日常」の終了がやってくるだろう。そのトリガーが既存のシステムの崩壊か、突如起きる自然災害か、はたまた侵略者の襲撃かはわからない。だからこそ今を生きる幸せと未来への不安が共存する人に本作を手にとってほしい。