『幽☆遊☆白書』常に人気トップだった飛影の魅力とは ギャップを生む“抜け感”を考察

『幽遊白書』飛影はなぜ人気だった?

 また、飛影の雪菜への感情は妹の幸せを想う兄そのものである。

 双子の妹である雪菜が行方不明だと知ってから、飛影はずっと彼女を探していた。見つけたあとも雪菜の幸せを願い、自分が兄であることを明かさず、彼女が危険なときは駆けつけ守る。雪菜が飛影を兄だと察していたのかどうかは謎のまま終わるが、彼女は自分の兄が飛影に近い種族であることはわかっていて、数少ない会話シーンで「なんだか兄に会っても同じこと言われそうですね」と飛影に言う。

 雪菜の前ではどんなに強がっていても、「兄としての自分」になってしまう。これも飛影の特徴だ。ほどよい「抜け」感と兄としての飛影は、その強さ、冷淡さのあいだにギャップを生み出す。以降、飛影のようなギャップのあるキャラクターは、読者に人気が出るキャラの典型例として扱われるようになった。

 特にゼロ年代から人気を博し、去年完結した『進撃の巨人』のリヴァイを見て、飛影を思い出した読者も一部では存在していた。リヴァイは「人類最強」と言われていて飛影と同じように小柄で釣り目だが、極度のきれい好きという抜け感がある。

 ギャップは魅力に直結するーー90年代、それを証明したのが飛影なのだ。 

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