『ONE PIECE』ルフィとロジャーが共通して見た“夢の果て”とは? ワンピース研究家が考察
ワノ国編で激闘が繰り広げられ、物語終幕の兆しも見せる『ONE PIECE』。本作には長年読者の関心を集める、1つの謎がある。それはルフィとロジャーに共通すると思われる、“夢の果て”の内容だ。
※本稿は『ONE PIECE』のネタバレを含みます。
ルフィが夢の果てについて言及したのは、原作60巻だった。彼の言葉は伏せられ、それを聞いた幼少期のエースとサボは呆れたような表情を浮かべる。そして96巻にてロジャーが夢について語った際は、白ひげと光月おでんが同じ表情を浮かべた。
聞き手の反応や99巻のヤマトの言葉から、2人が語った夢が同じ内容なのは間違いないだろう。海賊王を志すルフィと、後の海賊王であるロジャーの夢とは一体なんなのか。ワンピース研究家である神木健児氏に、話を聞いた。
「あくまで私の感覚的な意見ですが、ルフィが言うことなので格式ばった夢ではないと思うんです。それも幼少期の彼の言葉なので、例えば『世界の秩序を正したい』とかではなく、相当子供らしい言葉を使った発言だと思います。考察でよく言われるのは『世界中を巻き込んだ宴をしたい』とかですよね。私もそういう方向性だと考えています。ルフィの中に『差別をなくしたい』というような、具体的な大義はないと思うんです。なので単純に『皆が仲良ければ楽しいからいいじゃん!』くらいの感じで、子供が考える壮大な夢を打ち立てたのではないでしょうか」
神木氏はルフィとロジャーの夢は、内容は同じでも意味合いが少し異なるのではないか、と続ける。
「2人は同じ言葉を発しているものの、ロジャーはやや大人な視点で言っているのではと思います。ロジャーはその先や結果まで見ていて、ルフィは『ただやりたいからやる!』というような、違いがあるのではないでしょうか。ルフィはこれまでに多くの国を救ってきました。『ONE PIECE』のさまざまなエピソードを見ると、麦わらの一味のメンバーは国の歴史を知り、敵の悪行を知り戦っていることもあります。しかしルフィはただ出会った友達のためであったりとか、目の前の事象のために体を張ってるんですよね。例えばワノ国編では『優しくしてくれたお玉ちゃんにお腹いっぱい食べさせてあげたい』という前提があって、『おでんの意志』とかは二の次だと思うんです。それでも結果的には同じ目的を見据えて、奮闘している。なので夢に関しても、ルフィはただ楽しそうだから叶えようとしているけど、世界にとっては大きな意味を持つ行動なのかなと感じています」