『女の園の星』星先生の観察日記はなぜ面白い? 清少納言にも通じる、鳥井毬子の才能

『女の園の星』星先生観察日記の魅力

鳥井に映る作者の思い

 鳥井の日記のもうひとりの作者である和山氏は、インタビューのなかで華やかなイベントや事件ではない「普通の日常」を作品で描く理由を次のように答えた。

「実際に生活しているうえではそんなに意識しませんが、後から考えると何がそんなにおかしかったんだろうということで笑ってしまうことってありますよね。なんてことのない日常を面白おかしく描いていくことこそ私の描きたいものだと改めて気付かされて、普通の日常に焦点を当てるようになりました。」(4)

 和山氏の描きたいものを映すかのように、鳥井もなんてことのない星先生の日常に焦点を当て、達筆な文字で面白おかしく日記に綴る。多くの人を虜にした『女の園の星』を手掛ける和山氏の思いが鳥井にも込められているからこそ、彼女の日記は数多くの読者を魅了しているのだろう。

 ちなみに、和山氏は好きなキャラクターとして鳥井を挙げたあと、次のように言葉を続けた。

「でも現実にいたら苦手なタイプです。」

(1)和山やま,『女の園の星(1)』,祥伝社,2020年
(2)同上
(3)田中澄江,『枕草子への招待』,日本放送出版協会,1979年
(4)文春オンライン,“「私にはギャグ漫画を描く才能はないと、だいぶ前に諦めています」 『女の園の星』の和山やまが“半径3メートル以内の笑い”を描くわけ”,2021-07-16,https://bunshun.jp/articles/-/46642?page=3,

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