『進撃の巨人』有終の美を飾る 『ONE PIECE』や『呪術廻戦』を抑えてランキングトップに

『進撃の巨人』ランキングでも有終の美

週間ベストセラー【コミックス】ランキング(2021年6月15日トーハン調べ)

1位 『進撃の巨人』(34)諫山創 講談社
2位 『ONE PIECE』(99)尾田栄一郎 集英社
3位 『呪術廻戦』(16) 芥見下々 集英社
4位 『SPY×FAMILY』(7)遠藤達哉 集英社
5位 『怪獣8号』(3)松本直也 集英社
6位 『アルスラーン戦記』(15)荒川弘(漫画)/田中芳樹(原作) 講談社
7位 『魔入りました! 入間くん』(22)西修 秋田書店
8位 『神様に拾われた男』(7)Roy(原作)/蘭々(漫画)/りりんら(キャラクター原案) スクウェア・エニックス
9位 『Dr. STONE』(21)稲垣理一郎(原作)/Boichi(作画) 集英社
10位 『進撃の巨人』(34)特装版 Beginning 諫山創 講談社

 最新のコミックスの週間ベストセラーランキング(2021年6月15日トーハン調べ)の結果は、上記のとおり。『進撃の巨人』(諫山創)の最終巻(34巻)が1位になるのは誰もが予想していたことだろうが、その他の作品(具体的にいえば、3位と10位を除く2位以下の作品)の“健闘”に個人的には注目したい。

 というのは、ここ数カ月のあいだ、何かと1位から10位までのほとんどの順位を、『呪術廻戦』(芥見下々)の既刊が埋め尽くしているベストセラーランキングの結果を見ることが多かったからなのだが、同作の新刊が発売されて間もない週のランキングで、これだけ他の作品がランクインしているというのは、なかなか頼もしい結果だといえるだろう。

 逆にいえば、それだけ、このランキングを集計した週には、強いタイトルの新刊が数多く発売されていたということになるのだが、まずはなんといっても、1位の『進撃の巨人』について触れないわけにはいかないだろう。

 諫山創の『進撃の巨人』は、「別冊少年マガジン」2009年10月号から連載が始まり、一大ブームを巻き起こした怪物的作品である。今回発売された34巻は、先にも書いたとおり、長い物語のクライマックスを描いた最終巻だが、最後の最後で主人公とヒロインそれぞれが選んだ“決断”を、読み手がどう受け止めたかによって、この物語がハッピーエンドに終わったのか、そうでなかったかの解釈は分かれるところだろう。私としては、ある種のハッピーエンド(さらにいえば、世にも美しいラブストーリー)としてこのラストを読んだが、破壊と再生のループを予感させる謎めいた円環構造のエピローグも含め、諫山創という作家は、初の長編連載作にして、とんでもない傑作を描いたものだとあらためて驚かされた。

 また、驚かされたといえば、2位の『ONE PIECE』(尾田栄一郎)だが、この巻でなんと99巻である。(当たり前だが)次の巻ではついに100巻となるわけで、1997年の連載開始以来、浮き沈みの激しい少年漫画の世界で常にトップを走り続けているというのは、並大抵のことではない。なお、先ごろ刊行され、話題になっている『描きたい!!を信じる―少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方――』という本に掲載されているアンケートで、尾田栄一郎は、「漫画を描くときに心がけていることはありますか?」という質問に対し、「新しいものを見せたい」と答えているのだが、作者がこの貪欲な気持ちを失わないかかぎり、『ONE PIECE』という作品がこれから先も「少年漫画の王者」であり続けることに変わりはないだろう。

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