『進撃の巨人』『BEASTARS』『のんのんびより』……2021年に最終巻を迎えた名作漫画を振り返る

今年、最終巻リリースの漫画たちを紹介

 今年も気づけば5月に突入。春といえば出会いと別れの季節。惜しまれつつもエンディングを迎えた素晴らしい漫画を3つ紹介しよう。

『BEASTARS』

 まず1つ目はアニメ放映でも高い人気を博した『BEASTARS』(板垣巴留)。2016年に週刊少年チャンピオンにて連載が開始され、完結したのは去年。2021年1月に最終巻となる22巻が発売された。人気絶頂の中で終わりを迎え、完結を惜しむファンの声が相次いだ。

 この作品は漫画好きなら誰しもが好きな(?)動物の擬人化が何よりの特徴。『けものフレンズ』が大ブームを巻き起こしたように、動物×人間は人の心を惹きつけるのかもしれない。

 ただしケモ耳ふわふわほんのりコメディ……ではないのがこの『BEASTARS』。擬人化でありながら萌えを狙った作品ではなく、草食獣と肉食獣との関係性を学園を舞台に描いた物語だ。“動物擬人化の学園モノ”で草食と肉食が共存しているという、今までに見たことのないシチュエーション。草食と肉食が同じ学び舎にいるともあると、その間で対立や確執がゼロなわけではない。様々ないざこざの中、主人公のハイイロオオカミ・レゴシはドワーフウサギのハルに恋してしまう。肉食と草食という禁忌とも呼ぶべき恋なのか、これは“本能”なのか――。

 癒しだけを求めて読むと大ヤケドするが、生きていく上での在り方や、“認め合う”ことが難しくなった時こそこの作品に触れて欲しい。レゴシを始めとした登場キャラクターが、我々の心に足りない“何か”を教えてくれるはずだ。

『のんのんびより』

 2つ目に紹介するのは『のんのんびより』(あっと)。タイトルから推測できる通り、脱力系ゆるっとコメディだ。月間コミックアライブより2009年より連載され、アニメ化が3回、劇場版も制作された根強い人気作だ。

 舞台は全校生徒がたった5人のド田舎! 東京からやってきた蛍と田舎に住む仲間たちの日常を描く、ハートフルなストーリーである。「田舎あるある」も作中に盛り込まれ、田舎暮らし経験者なら共感してしまうことうけあいだ。また経験がなくとも本作に影響され、地方へ引っ越す読者も一定数いたらしい。

 『のんのんびより』は常に明るくほがらか、多くの緑に囲まれた生活の素晴らしさを上手く描いており、読み進めていれば自然と「こんなのんびりとした暮らしもいいな」とつい憧れを抱いてしまう。

 せわしない毎日に疲れた時、目まぐるしい日々から少しだけ解放されたい時、実家が恋しくなった時こそ、本作を読むべき。可愛らしい学生の愛らしい暮らしを目にするだけで、全身の緊張がスルッと抜けていく。

 「にゃんぱすー」や「○○なのん!」といった独特の言い回しもあり、ちょうど良く“オタク心”を刺激してくれるのも嬉しいポイントだ。最終16巻は2021年3月に発売されため、ぜひこの機会に全巻読んでみてほしい。

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