『名探偵コナン』トラウマ回“スプラッタ編” 残酷すぎる殺害方法に恐怖が止まらない!

『名探偵コナン』トラウマ回“スプラッタ”編

山荘包帯男殺人事件(第5巻)

『名探偵コナン』5巻
『名探偵コナン』5巻

 コナン史上最も残虐なトラウマ回と言えばこの「山荘包帯男殺人事件」だ。鈴木園子の招待で園子の姉の映像研究部の同窓会に参加した蘭とコナン。映研仲間の一人が顔中に包帯を巻いた男に連れ去られ、森の中でバラバラに殺された状態で見つかるというストーリー。チューリップハットに黒いマント、顔中包帯という出で立ちの包帯男のビジュアルもホラーめいているが、なによりその死体発見シーンがトラウマ必至。最初に足、次いで腕とバラバラに切断された身体の部位が次々に見つかるシーンだけでも身の毛がよだつが、さらに衝撃なのはこの次のコマ。首と胴体が見つかり、胴体を抱きかかえ起こそうとした瞬間首がゴトンと音を立てて落ちるシーンは多くの読者のトラウマになったことだろう。

 このエピソードは単に残虐な殺人描写だけに留まらず、その殺人方法が犯人のアリバイトリックにも活用されたというのがこの話の個性を際立たせている。トリックの詳細をここで記すことは避けるが、後にも先にも残虐な殺人方法とトリックがここまで絶妙に噛み合ったエピソードは『コナン』に留まらず他のミステリー作品でも類を見ないのではないだろうか。その衝撃的なトリックはぜひ単行本で確認していただきたい。

 ここまで紹介した3本は長い『名探偵コナン』の歴史の中でも最初期の作品が多い。やはり『コナン』が世代を問わず国民的に愛される作品になるにつれて、どうしてもこういった猟奇的な描写は減少していく傾向にあった。また最初期と現在の絵のタッチを比べてみても、近年は特にマイルドなタッチに変化していることが分かる。ここまで紹介したホラーめいた作風が『コナン』の魅力の一面と思っていた私のようなファンにとって、こういったエピソードの減少には少し残念な思いもあるが、仮にこうした作風のエピソードばかり続けていたら、きっと今の『コナン』の人気は無かっただろう。とはいえ作者の青山剛昌は今でも時折こういった猟奇的なエピソードも描いている。単行本86,87巻に収録された「県警の黒い闇事件」では、首が切り落される事件が多発。この事件に上記した『ジェットコースター殺人事件』や『山荘包帯男殺人事件』を彷彿とした読者も多かったのではないだろうか。こちらもぜひチェックしてみてほしい。

 様々な切り口から魅力が溢れる『名探偵コナン』の世界。その幾多もある面の1つとして、スプラッタ描写やその変遷にもぜひ注目してみてはいかがだろうか。

■ふじもと
1994年生まれ、愛知県在住のカルチャーライター。ブログ「Hello,CULTURE」で音楽を中心とした様々なカルチャーについて執筆。Real Soundにも寄稿。
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