庵野秀明がアニメ化監督を務めた少女漫画 『彼氏彼女の事情』に感じる“エヴァみ”
カレカノとエヴァの共通点?
アニメ化もされている『カレカノ』だが、実は手掛けたのは庵野秀明監督だ。アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』後に手がけた、初のアニメ作品ということで話題にもなった。『エヴァ』のスタッフも多く携わっており、心象表現なども「庵野的」カラーがそこここに見られる。
『シン・ウルトラマン』に続き『シン・仮面ライダー』の制作が発表され、ファンの間では『シン・カレカノ』をやってほしい、というコメントが多く見られた。実は映像としてだけではなく、『エヴァ』と『カレカノ』には、他者に“認められる”自分、“母親”といったキーワードなど、共通点も感じられる。
『エヴァ』ではシンジの母親であり、ゲンドウの妻であるユイの存在が物語のキーポイントだ。一方『カレカノ』では有馬の母親にも強いインパクトはあるが、何より雪野自身が母親になる。有馬が立ち直る過程で、雪野は有馬の子どもを身ごもる。愛していながらも雪野の傷つけることが目的で行った行為ゆえの妊娠だったために、有馬は悩むが、「絶対にこの子を幸せにしなければ」と悟る。
“母親”となった雪野の存在は、有馬の心を救い、幸せに導いた。『エヴァ』もまた、「ユイ」の愛を知ることがキーワードだったとしたら……と思うが、これは少しこじつけが過ぎるだろうか。
■書籍情報
『彼氏彼女の事情』(花とゆめCOMICS)21巻完結
著者:津田雅美
出版社:白泉社