『鋼の錬金術師』ウィンリィの自立したヒロイン像 泣き虫だけど強い理由とは?

『鋼の錬金術師』ウィンリィの自立したヒロイン像 泣き虫だけど強い理由とは?

 2001年から約10年にわたって「月刊少年ガンガン」で連載された荒川弘『鋼の錬金術師』。アニメ化だけではなく、実写映画、ゲーム、ドラマCDとさまざまなメディアミックスもなされ、多くのファンを魅了した。

 亡くなった母親を錬成しようとしたものの失敗し、エドワード・エルリックは右腕と左足を、弟のアルフォンス・エルリックは肉体そのものを失ってしまった。母親を錬成できなかったことへの絶望、そして弟・アルの肉体が失われてしまったことに後悔と責任を感じているエドのそばによりそったのが、幼なじみのウィンリィ・ロックベルだ。

悲しみと共に 明るくしっかり者のエルリック兄弟の理解者

 金髪のポニーテールがチャームポイントの少女、ウィンリィ・ロックベル。エドとアルの幼なじみであり、2人の初恋の人でもある。

 祖母のピナコと2人暮らしで、機械鎧整備士としてエドたちを支えている。明るい性格でエドたちが無茶をすればスパナを振りかざし怒るが、基本は心優しく、彼らの幸せを誰よりも願っている。

 彼女も医者だった両親をイシュヴァールの内乱で亡くした過去も抱えており、兄弟の苦しみを少なからず理解していた。無茶はしないでほしい、とエドたちの身を常に案じながらも、故郷でその帰りを待っているウィンリィ。泣き虫なところもあるが、その場でうずくまってしまうようなことはなく、前向きに機械鎧整備士として日々努力を重ねている。

 両親が医者だったこともあり、昔から家にあった医学書を読んでいたので医学的知識も持ち合わせている非常に優秀な女性だ。エドたちにも機械鎧整備士として、そして人間としても信頼されていることがセリフの端々からもよくわかる。エドたちはウィンリィのことを、家族のように大切に思っており、はっきりと口に出さなくても「必ず守る」と心に決めているであろうことは想像に難くない。

エルリック兄弟の価値観に大きな影響をもたらす

 あるとき、エドたちと共に「機械鎧技師の聖地」とも言われるラッシュバレーを訪れたウィンリィ。縁あってある機械鎧技師に会うためにさらに山奥へと向かったが、そこで思わぬ出来事に遭遇する。

 急に産気づいた女性のお産に立ち会うことになったのだ。医者を呼ぼうにも山奥、さらに橋が壊れてしまったことによって街への道を絶たれてしまう。刻一刻と出産の瞬間が迫る中、ウィンリィは自分のこれまでの記憶を頼りに子どもを取り上げることを決意する。

 エドとアルは何もすることができない。

「情けないことに今……心底『怖い』と思ってる…」

 そうこぼすエドにアルも頷く。すでに国家錬金術師としての修羅場をいくつか潜り抜けてきたにも関わらず、だ。

 エドもアルも命の重さを知っている。そして、あまりにも簡単に奪われてしまうことも。その一方で、命が生み出されることは大変なことで、命がけだ。その場に立ち会うことになったのは、エドたちにとってとても大きなことだったのではないだろうか。

 そして、そのきっかけを与えたのがウィンリィだということも。大切なシーンにウィンリィがいることは多いが、「赤ん坊を取り上げる」という決断は彼女らしいもので、彼女でなければエドたちに立ち会う機会もなかっただろう。

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