『鋼の錬金術師』ロイ・マスタングの本心とは? クールな表情の下に隠された、未来への希望
部下、友人たちを大切にするという当たり前のこと
自分以外の誰かを大切にすることは簡単に思えて実は難しい。トップに立てば、それはより困難になるのではないのか。軍のトップに立てば兵士は駒となってしまい、どれだけの兵士が亡くなっても「数」でしかなくなる。
マスタングはイシュヴァールの内乱直後、自分の部下、仲間の名前も知らなかったことに苦い表情を見せる。自分が手にかけたイシュヴァールの民に対してもだ。だが、自分が全ての人を守れるわけではないことも知ってしまった。だから、自分の大切な人だけは全力で守る。その大切な人たちがまた誰かを守ってくれることを信じて。
彼にとって苦渋の決断だが、未来に賭けているとも言える。自分たちは苦しんでもいい。辛い思いをしてもいい。その結果、未来が少しでも明るく、幸せなものになればいい。そう願っているのだ。
たくさんの人を手にかけ、無力さに涙を飲んだ。それでも全てを捨てず、冷酷を装いながら誰よりも人を愛し、未来に期待している。それがロイ・マスタングという人なのではないだろうか。
(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))
■書籍情報
『鋼の錬金術師』(ガンガンコミックス)27巻完結
著者:荒川弘
出版社:スクウェア・エニックス
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