YouTubeでバズった“フライパン1つで作るパスタ”とは? たった15分でプロの味を実現
大きな鍋にたっぷりのお湯を沸かす――普通はそこから始まるパスタ料理の常識を、フライパン一つで美味しく打ち破る革命的なレシピ本が誕生した。
その名は『フライパンだけで完成!ほぼ15分でプロの味! めんどうな日でも作りたくなる極上パスタ』(小林 諭史 Chef Ropia/KADOKAWA)。タイトル通り「ワンパン」パスタ料理30品を提案しつつ、簡単に作れる前菜・メイン料理・ドルチェまでもをカバー。まさに、忙しい日や料理に気乗りしないときの時短調理に役立つ一冊となっている。
著者は人気YouTuberの顔も持つイタリア料理のシェフ
著者の小林諭史さんは、長野市にあるイタリア料理店「リストランテ フローリア(Ristorante Floria)」のオーナーシェフを務める傍ら、Chef RopiaとしてYouTubeで料理動画を配信、今や45万人ものチャンネル登録者数を持つ超人気YouTuberでもある。
そんな小林さんが本書で提案するRopia流ワンパンパスタレシピは、湯沸かしいらずの3ステップで構成される。
1.具を炒める
2.水とスパゲッティを加えて煮る
3.味を調えて完成
小林さんは文中で「ひとり暮らしや料理ビギナーにおすすめで、”めんどうで作りたくないな……”というときにもピッタリ」と述べているが、極狭シンクの持ち主としては、パスタを茹でる大鍋や湯切りのザルという洗い物界の大物たちとオサラバできるのも嬉しいポイントである。
さっそく、本書の指定通り「直径約26cmの深めのフライパン」をお供に、ワンパンワールドに飛び込んでみた。
お肉がうまい!「スパゲティ ボロネーゼ」
パスタづくりはこうあるべし!と固くなっていた私の頭を秒で上書きしたのが「スパゲティ ボロネーゼ」。
とある隠し味が効いたソースは、一晩寝かせたレベルのコク深い仕上がり。レシピの通りあまりいじらずに焼き付けた肉からもうまみがたっぷり引き出されており、「極上パスタ」のタイトルに偽りなしということが舌でわかる。
ソースの旨みをぐんぐん吸いながら茹で上がった麺は、プリプリ、ぱつぱつと、弾むような食感。長年愛用しているバリラが、乾麺からこんなにイキイキと蘇るなんて心底びっくりだ。
このボロネーゼで、パスタ作りの常識がすっかりくつがえされてしまった。
やみつき必至!「トマトカルボナーラパスタ」
大好物のカルボナーラにトマトソースが加わったイイとこどりのパスタも、ワンパンで手軽に作れる。
トマトソースが入ることでほんのりオレンジに色づいたソースがプリプリ麺にまったりと絡みつき、口福の極み。特にうちの小学生は「またこれ作ってね、トマボナーラ。」と造語を生み出すほど気に入ったようだ。
卵黄がダマにならないコツもわかりやすく書かれているから、誰でも失敗なく、とろんとしたカルボナーラが作れるだろう。
甘酸っぱくてクセになる!「フレッシュトマトとしらすのパスタ」
スパゲティに乗り移ったミニトマトの酸味を、しらすの塩気が引き締め、あっさりと食べられる「フレッシュトマトとしらすのパスタ」。辛味も効いたこの一皿は、本書に掲載されている「ラクうまペペロンチーノ」の応用レシピともいえる。
ワンパンパスタは、乳化も得意だ。パサついてしまいがちなオイルベースのパスタも、ワンパンなら煮詰めていく過程で油分と水分が勝手に乳化する。さらに麺から出たデンプンが乳化剤の役割をするようで、程よいとろみのあるソースが手間なく出来上がるというわけだ。
さて、一人分のワンパン料理に慣れてきたところで二人前にも挑戦してみよう。と言っても、解説通りに材料を二倍で計量し、フライパンを一回り大きい28cmのものに変えるだけ。これで二人分の料理も同じ要領でできた。
とろ〜り卵の「和風かま玉チーズパスタ」
小林さんが提案する釜玉うどんのパスタ版は、じっくり炒めてうまみと甘みをブーストさせた玉ねぎが味の決め手となっている。
そこにブロックベーコンと卵黄、チーズが合わさるからか、釜玉発・カルボナーラ経由・油そば、とも言えるような、ちょっぴりジャンクな濃厚さも持ち合わせる。この味とワンパン調理の手軽さにすっかりやみつきになってしまい、一週間に二度も作ってしまった。