『思い、思われ、ふり、ふられ』キャラクターたちを応援したくなる理由とは

『思い、思われ、ふり、ふられ』キャラクターたちを応援したくなる理由とは

※ネタバレあり

 2020年8月には実写映画化され、9月にはアニメ映画が公開となる『思い、思われ、ふり、ふられ』。作者は『アオハライド』や『ストロボエッジ』など高校生のもどかしい恋愛を描く咲坂伊緒だ。

 人見知りが激しく、恋に夢みがちな市原由奈、誰とでも気軽にコミュニケーションを取ることができ、現実的な恋愛観を持つ山本朱里。そして由奈の幼なじみ・乾和臣、朱里の義理の弟・山本理央の4人の恋の物語となっている。

 由奈と朱里がひとりを巡ってライバルとなるのか、それとも、四角関係となるのか……と思いきや、恋愛関係としてはいたってシンプル。それぞれの関係はどうなるのかドキドキそわそわするというよりは、自然と4人を応援するという気持ちになる。共通点は、ヒロインが「一度フラレている」ということだ。

「初めて」の恋に舞い上がる由奈と理央

 片想いの相手だった朱里と親の再婚で姉と弟の関係になってしまった理央。由奈と出会った高校入学当初も朱里への気持ちを抱え続けていた。朱里は理央の気持ちを知った上で、想いを告げる。もちろん、このときはフラれてしまうわけだが、由奈の支えもあって理央は朱里への想いを乗り越えることができた。

 その後、理央は由奈に惹かれ始めるのだが、そのきっかけは「夢の中で由奈とデートをしたこと」だった。なんとかわいらしいきっかけか! 夢に出てきた由奈を意識し始め、由奈の良いところ、かわいいところに気づき始める。

 出会ったばかりのころは俯き加減だった由奈が、下を向かず、目も逸らさなくなっていく。その変化にも理央は心を奪われていく。

 朱里への気持ちを抱えているときはどこかアンニュイだった雰囲気の理央の様子も次第に変化していく。オロオロと、由奈の一挙一動に動揺するようになる。実際に恋が叶い、付き合い始めてからは、好きで仕方がないと甘い言葉の連発。和臣にもノロけまくる。

「由奈ちゃんが望むことは全部俺が叶えたい」

 最初は、そういうことを言うタイプには見えなかったのだが、恋が理央を変えたのか。だんだん理央と由奈の表情が似てきたような気もする。

家族との関係に苦しむ 同志の朱里と和臣

 母親の結婚と離婚、そして両親のケンカでぎくしゃくし苦しむ朱里。奔放な兄の影で自分のやりたいことを我慢し、親とうまくコミュニケーションを取れない和臣。

 この2人は物語の早い段階から相思相愛だったが、和臣は理央が朱里にキスをするところを目撃してしまい、自分の気持ちに蓋をする。朱里からの告白も断ってしまう。それでも、似た苦しみを抱える2人は時に相談し合い、励まし合う。互いに好意を抱きながらも、損得を抜きに相手に幸せになってほしいと思う。やがて、たとえ思いが通じなかったとしても、自分の気持ちを伝えたいと思って行動に移した。

 付き合ってからも、「好き」をたくさん伝えるというよりは相手のことを一番に思って行動しているイメージだ。しかし、似た者同志だとすれ違ってしまう。そんなときに背中を押すのが由奈と理央だった。和臣のことも、朱里のこともよく分かっている2人が言う言葉は、ストンと心の中に落ちて行く。終盤になると朱里も素直で2人の言葉に耳を傾け、自分の心を整理できるようになっていた。

 2つの恋の形はどれも「らしい」もので、違う形だからこそ、補い合えるのかもしれない。

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