Zoom飲みがさらに楽しくなる? パリッコ×スズキナオが提唱する、新しい家飲みアイデア
若手飲酒シーンのトップランナーであるパリッコと、大阪在住で近刊が5刷りとなったスズキナオ。共に売れっ子のライターであるふたりが、酒の可能性を追求するユニットが「酒の穴」だ。プロフィールによれば、日常的な生活の中にぽっかりと現れる、「今ここで乾杯できたらどんなに幸せだろう」と思うような場を探求するユニットだそう。そのふたりが編著したのが『のみタイム 家飲みを楽しむ100のアイデア』である。
大阪在住で、関西のディープスボットをディグしまくるスズキナオと、実験的なつまみのレシピも開発するパリッコ。本書を作ろうとしていた1年前は、好きな酒場を取り上げようと息巻いていたふたりだが、その矢先にコロナウイルスが蔓延。結果、今しか作れない本にしようと方向転換しようと思ったという。
そこで肝要なのは、「外で飲めないから仕方なく家で飲む」というネガティヴな姿勢をとらないこと。家飲みという行為そのものが尊く、その尊さを極限まで追求しようとしたのがこの本だ。コロナ以降の宅飲みを楽しむための100のアイデアを提示し、著者が実際に試してみる。その中から、自分もいくつかをピックアップしてレビューしてみた。アイデアは長いもので4ページ、短いものだと300文字程度。大雑把ではあるが筆者がジャンル別に並べておいた。なお、数字は著書のアイデアに見出し的に付けられたもの。便宜的なものだろうから、著者も、この書評も、1から100までのうちどの番号から読み始めても問題はないと思う。
組み合わせ/珍レシピ系
・015 アイディアレシピを開発してみる
『アボカドの種をくりぬいた穴に海苔の佃煮を入れて食べるとうまい』というアイデアが以前流行ったが、今回はその応用編。穴に入れると旨いのは、バニラアイス、タバスコマヨネーズ、トムヤムペーストなど。そうやって試行錯誤しながらオリジナルなおつまみを考えるのは楽しい。自分だけのヒット作を発見した時は狂喜乱舞必至だろう。
・051 谷口菜津子さんの考えた『お恥(ち)まみ』を味わいながら飲む
怠惰な人にもできる!というのがこれ。『レトルト以上、ごちそう未満! スキマ飯』という著書もある漫画家の谷口菜津子が提唱する簡単すぎるレシピ。ごま油に塩を振って舐めるだけ、卵黄にチーズを絡めるだけ、コーンスープの粉を舐めるだけ。ミニマムだ……。漫画『花のズボラ飯』にも劣らぬズボラっぷりレシピだが、一応定義はある。〇〇に××を加えるという2工程まではいいのだが、そこに更に3品目を+するとアウト。そう、3工程は「お恥(ち)まみ」精神には反するのだ。
・079 コンビニかけ合わせグルメで飲む
あまみとしょっぱみを臆せず掛け合わせるメソッド。「これとこれが合うなんて!」という愉悦に浸ることもできるし、失敗しても単純に暇つぶしの娯楽になる。結果に拘泥するのは野暮というものだ。ちなみに、掛け合わせには、とにかくポテトサラダが有能だそう。黒豆を混ぜあわせるのが定番だが、佃煮のごま昆布のもいいという。ミニクロワッサンの端をちぎってアイスのピノを詰めて食べるのが生涯ベスト、という人もいるそう。
気の持ちよう/~のつもり型
・022 同じつまみを用意して同時に食べながら飲んでみる
Zoomを使って飲み会をやるのはそれなりに楽しい。ただ残念なのが、酒場でそうするように、同じ食べ物をシェアできないところ。これは寂しい。そこで、同時に同じ料理を食べながら、味の感想を共有してはどうだろう? 事前に食べるものを決めておき、同じつまみを食べることで、料理をシェアしている感覚が蘇ってくるかもしれない。
・06 家だがピクニックする
キャッチーだが実際のプロセスを見ると案外淡々としていて飽きそう。「018 ココナッツの香りの力を借りて、海辺にいると思いながら飲む」は相当なイマジネーションが必要。「ガーネッシュ エアフレッシュナー」というココナッツの香りのスプレーを部屋で吹いてみると、気分は南国……というのは試し甲斐がありそうだが。「28 キッチンで立って飲む」はすぐにできる。料理や洗い物をするでもなく、キッチンを立ち飲み屋に見立てるというものでアイデアは秀逸。