もしも鈴木愛理が“普通の女子高生”として過ごしたら……写真集『卒業』に詰まった学生生活への憧れ

鈴木愛理『卒業』に込められた想い

 2013年3月に発売された鈴木愛理の高校卒業記念写真集『鈴木愛理 全集2010-2013 「 卒業 」』(ワニブックス)が8月31日にデジタル写真集として配信された。版元であるワニブックス『アップトゥボーイ』編集部のTwitterでは「#アイリ17歳」のハッシュタグとともに情報が解禁され、鈴木愛理本人も「#アイリ17歳 ってまあまあなパワーワードじゃない?!」と「by #アイリ26歳」のハッシュタグとともに引用リツイートしてファンにお知らせをしていた。

 写真集『卒業』は、「ニッポンの女子高生3部作」として撮影された2010年発売の『登校日』、2011年発売の『巡る春』、2012年発売の『この風が好き』の未公開カットと、新たな撮り下ろしが収録されており、全200ページ以上にも及ぶ大ボリュームに仕上がっている。それぞれ、『登校日』は四国で、『巡る春』は新潟で、『この風が好き』は九州で、新たに収録された撮り下ろしは北海道と東京で撮影が行われている。日本各地のどこか懐かしい風景とともに、青春を生きる鈴木愛理の姿が見られるのが本作の特徴だ。

 写真集発売から7年が経った今、デジタル版として写真集『卒業』が配信されたことをきっかけに、多くのファンが鈴木愛理の軌跡を振り返ったのではないだろうか。2002年、8歳でハロー!プロジェクトキッズのオーディションに合格し、2007年、13歳の頃に℃-uteとしてCDデビュー。センターとメインボーカルを務めた。ここからノンストップでアイドル活動を全うし、音楽に向き合い続ける姿は「アイドルが憧れるアイドル」とも評されるほどで、歌唱力・ダンススキル・ビジュアルにおいても高いレベルを誇る圧倒的な存在と言えるだろう。

 そんな鈴木愛理は、アイドルに青春を捧げ、音楽とともに生きている。いつでも明るい笑顔を見せてくれる安定感は、まさにトップアイドルの風格だ。常にポジティブな印象を抱かせる、ストイックでプロフェッショナルな彼女だが、写真集『卒業』ではごくごく普通の女子高生の一面を見せてくれているのが見所だ。

普通の女子高生としての鈴木愛理

 アイドル戦国時代とも言われていた当時、℃-uteは実力こそあれどなかなか日の目を浴びることがなかった。それでも変わらぬ明るさと完璧なパフォーマンスでグループを引っ張ってきた彼女のリアルな鼓動に向き合ったような写真集。アイドルの写真集らしく、水着で可愛く写るカットもたくさん収録されているのだけれど、この写真集に写る姿は、彼女の日常のようにも見える。

 冒頭でも述べたように、本作に収録されている写真は、四国・新潟・九州・北海道・東京と日本の各地で撮影されている。四国の海辺、新潟の雪道、古民家が並ぶ街並み、無人駅などの田舎っぽい景色のなか、制服姿で佇む写真からは、本当にその街で暮らす女子高生の何でもない日々を切り取ったような、穏やかでのんびりとした時間が流れている。

 幼い頃から芸能活動を始めた彼女は、一般的に想像される青春とはかけ離れた青春時代を過ごしており、周囲の同世代が送る学校生活に憧れを抱くこともあっただろうと思う。その反動か、普段は体験できない「田舎に住む普通の女子高生」の日常を、心から楽しんでいるかのような自然な姿が印象的だ。ファンとしても、きっと本人としても、記念すべき一冊となったに違いない。

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