『ONE PIECE』鬼人を泣かせた“サンジのチャーハン”を完全再現! 憧れのマンガ飯を実食してみた
トムズ ワーカーズ「ココロのカレーライス」
今、市販のカレールウは各社が競うように味をレベルアップしており、どれも文句のつけようがないぐらいおいしい。見た目も高級志向の表れか、ビーフシチューかと見まごうほど焦げ茶色寄りのものが増えているように思う。でも昭和生まれの私は、やっぱりカレーといえば黄色を連想する。キレンジャーや秀樹も思い浮かぶ。そうして黄味が強いカレーライスが食べたくなると、S&Bの赤缶カレー粉を頼りに自作する。
本書はそんな日本のカレーをイチからつくる楽しさも教えてくれる。見た目も懐かしいカレーライスは、劇中では造船会社「トムズ・ワーカーズ」の美人秘書ココロが出す一品だ。
具材は”肉じゃがオールスターズ”ともいえるメンバー構成で、福神漬けとらっきょうが皿の上で友に寄り添う設定も外せない。コップの水にはぜひスプーンを突っ込もう。これでスプーンが清められるとか、反射光でインスタ映えするとか、なにかに対して確たる効果があるとは思えないけれど、まじないをかけたようにカレーが一層おいしくなる。
うっかりガッツリ茶色系メニューに終始してしまったが、本書には「いなり寿司」や「タコ焼き」「シーフードリゾット」などのごはんものから、おかず、スイーツまで全40レシピが収録されている。今度は海賊らしい魚介系メニューにもトライしてみようと思う。
マンガのごはんは楽しい
思い起こせば『トムとジェリー』の穴開きチーズに始まり、『ドラえもん』のどら焼きや『ルパン三世 カリオストロの城』のミートボール・スパゲッティ、ジブリ飯の数々、実写作品なら最近では『ダンケルク』のジャムトーストや『ストレンジャー・シングス』のワッフルなど、心に残る劇中食は枚挙にいとまがないが、いずれもその食べものが持つ魅力抜きには作品を語れない。むしろ作品を語るときに頬張りたいものばかりだ。本書のレシピがあれば、『ONE PIECE』の魅力がさらにブーストされ、目と舌を通して作品の世界観がさらにリアルに感じられるだろう。
■大信トモコ
元Supersnazz、現在はTweezersとRock Juiceで活躍中の歌うベーシスト。趣味は映画と音楽鑑賞、料理本集め。Twitter。
■書籍情報
『ONE PIECE PIRATE RECIPES 海の一流料理人 サンジの満腹ごはん』
著者:SANJI
価格:本体1,300円+税(通常版)
出版社:集英社
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