中高年の婚活、大切なのは「条件」よりも「生き方」 桂望実『結婚させる家』の問いかけ

中高年の婚活、大切なのは「条件」よりも「生き方」 桂望実『結婚させる家』の問いかけ

 同小説の直樹のような50代男性も、若い女性が求める経済力やバイタリティーがあれば、年下の女性と結婚できる可能性はある。とはいえ、中高年になると健康不安や定年後の生活、高齢になる両親のことなど、20代や30代にはない悩みを抱えるため、それらを上回る旨味を感じさせないと興味を引けないことも。

この人が運命の人だといいのにと純子は思う。どうしたら運命の人か、そうじゃないかわかるのかしら。誰か教えてくれたらいいのに。(『結婚させる家』P120より)

 これは50歳の菰田純子が「プレ夫婦生活」を送るなかで、自分に言い聞かせていた言葉だ。女性ならどこかロマンチックに、将来のパートナーのことを思うもの。健気な純子はあれこれ気を利かせて頑張っていたが、心の通わない相手から離れることを決める。

「こんなに好条件の男は滅多にいませんよ。その僕がどうして断られるんですか。」(『結婚させる家』P150~151より)

 これは純子が別れを決断した一方で、相手の54歳の山本幸広が、相談員の恭子に電話してきた内容だ。中高年になって社会的な地位や経済力を持つほどに、傲慢になってしまった幸広。昔は柔軟に対応できたことも、年を重ねるごとに難しくなり、価値観がかたまってしまうこともあるのだろう。

 いつまでも自身が「選ぶ立場」だと思っていると、とっくに「選ばれる立場」になっていることに、気づかないことがある。

 2020年の現在、全世界がコロナ禍の影響を受けた大きな生活の変化にともない、結婚観を見直す人もいるそうだ。

 中高年の婚活は、相手の「条件」を見るのではなく、どんな人生を歩んできたのか、これからどう進んでいきたいかという「生き方」を重視するほうがいいのかもしれない。『結婚させる家』に登場する人々から、そんな味わい深い人生の選び方が学べるだろう。

■かわむら あみり
ライター/エディター/コラムニスト。大阪生まれ。出版社勤務後、独立。編集者として担当してきた音楽やテレビなどのエンタメ、そして独身時代に約1000人の男性と出会い、13歳年下の夫と結婚して一児の母になった経験から恋愛や婚活、育児といった女性のライフスタイルに役立つ情報までを手がける。マガジンハウス「Hanakoママ」で親子のイラストエッセイやエンタメ連載、「anan」webで音楽取材連載や恋愛コラム連載、小学館「Suits woman」でテレビコラムなどを連載中。https://amirikawamura.com/

■書籍情報
『結婚させる家』
桂 望実 著
価格:本体1,600円+税
出版社:光文社

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