5人に1人の割合で存在ーー敏感すぎて辛い「HSP」が人生を楽しむための『53の幸せリスト』

HSPが人生を楽しむための幸せリスト

 小学生の頃、通知表にはずっと「感受性が豊か」と書かれていた。その感受性が長所ではなく、生きづらさのもとになったのは一体いつだったのだろう。自分の身の回りにはいつも、理解されない恐怖や悲しみがたくさんある。

 例えば、電車。周りの視線や飛び交う言葉が気になりすぎて携帯電話を見るふりをしながら、イヤホンをしないと乗っていられない。車を運転している時には後続車に迷惑がかかっていないか不安になるし、他人の愚痴を聞くと、その人の感情が自分の中に流れ込んできて心が侵食されてしまう感覚がある。

 「気にしすぎだよ」と周りから指摘されても、「気にしない」はどうすればできるのかとまた深く悩んでしまい、悪いループに陥ってしまう。なんでもないことに敏感に反応してしまう自分が嫌でたまらなかった。

『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』(武田友紀/飛鳥新社)

 だから『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』(武田友紀/飛鳥新社)で自分がHSPかもしれないと知れた時、号泣した。自分でもよく分からない生きづらさを言語化してくれたことや、似た悩みを持つ仲間がいることが分かって嬉しかったのだ。

 HSPとは、生まれつき繊細な気質を持った人のこと。アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念がベースになっており、5人に1人の割合で存在することが調査によって判明している。日本では「敏感すぎる人」や「とても敏感な人」などと訳され、ロンドンブーツ1号2号の田村淳がSNSにてHSPであることを告白したことも大きな話題となった。

 著者の武田氏はHSPを「繊細さん」と呼び、同書内では刺激から身を守る工夫や繊細さを活かしながら生きる術を具体的に紹介。武田氏自身も実はHSPで、現在はHSP専門カウンセラーをしているからこそ、作中に記されている生きづらさは的確。なぜ、この気持ちが分かるんだろうと驚かされた。

 また、目からウロコだったのがHSPではない「非・繊細さん」との感じ方の比較。今まで、「どうして言っても分かってもらえないんだろう」と思い、相手の分からないという感覚が逆に分からなかったからこそ、自分が当たり前だと思っている感覚がない人もいることを知れたのは大きな発見だった。

 こうした気づきを経て、筆者の心に芽生えたのが「自分らしい幸せの見つけ方を知りたい」という想い。『今日も明日も「いいこと」がみつかる 「繊細さん」の幸せリスト』(ダイヤモンド社)はまさしく、そんな願いを叶えてくれる一冊だった。本書は前作よりもさらに、”悩みの先”に着目し、繊細な感性を克服すべき課題として捉えるのではなく、活すことで日常の中にある「いいこと」をキャッチして幸せになろうと訴えかけている。

 繊細さを「いいもの」として大切にし、幸せを増やすためには2つのポイントを意識。

1) 成果主義から一歩外に出て、自分のためだけに感じたり味わったりする時間をとる
2) 繊細さを、まずは自分の幸せのために活かす

 本書内ではこの2つのポイントをどう意識し、生活の中に取り入れていけばいいのかを全6章に分け、解説している。

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