一人負けの日本は再び立ち上がれるのか? 月間ビジネス書ランキング『シン・ニホン』に注目

ビジネス書ランキング『シン・ニホン』注目

月間ランキング【経済・ビジネス書】(2020年3月 honto調べ https://honto.jp/
1位 『話すチカラ』齋藤孝、安住紳一郎 ダイヤモンド社
2位 『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』日経コンピュータ 日経BP
3位 『交渉力 結果が変わる伝え方・考え方(PHP新書)』橋下徹 PHP研究所
4位 『異端のすすめ 強みを武器にする生き方(SB新書)』橋下徹 SBクリエイティブ
5位 『シン・ニホン』安宅和人 ニューズピックス
6位 『Think Smart』ロルフ・ドベリ/安原実津 訳 サンマーク出版
7位 『知的再武装60のヒント(文春新書)』池上彰 文藝春秋
8位 『嫌われる勇気』岸見一郎、古賀史健 ダイヤモンド社
9位 『人は話し方が9割』永松茂久 すばる舎
10位 『メモの魔力』前田裕二 幻冬舎

『イシューからはじめよ』(英治出版)

  緊急事態宣言が発令され、不安を抱えながらも自宅で読書に勤しむ人も増えたのであろうか。400ページを超えるボリュームながら、『シン・ニホン』が、いま多くの人に読まれている。ベストセラー『イシューからはじめよ』の著者である安宅和人氏が、膨大なファクトの積み重ねから、削り出した現代の課題と、描き出す未来への展望を日本人に投げかける。

 新たな時代への指針を示す本書は、奇しくも変化を求められた、このコロナ禍の今、まさに読みたい一冊だ。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われて久しく、既に日は傾いている。AI×データ時代における日本の再生戦略とはいかなるものか。

 ここ15年の日本は、「一人負け」を続けてきたと安宅氏は言う。詳しい数字はページを手繰ってもらいたいが、世界トップ30カ国のGDP、各国一人あたりのGDP、世界トップ30カ国一人あたりの生産性、どれをとっても日本の推移は芳しくない。産業別の生産性を見ても、かつて日本が世界を牽引していた、輸送用機械(クルマ)、電機・情報通信機器の分野ですらトップではない。

 都合の悪い現実からは目を背けたくなるものだが、本書ではこれを直視し全体観を把握した上で、建設的な提言へと歩を進める。過去にならった陣取り合戦を続けるだけでは、明るい未来は訪れない。いまや構造自体が変化している。AI×データ時代の情報技術の発展とは新たな産業革命なのだ。確かに日本は、技術革新や産業革新の新しい波は引き起こせず、潮流に乗ることもできなかった。それでも、日本にはまだ勝ち筋があると安宅氏は語る。

 過去の産業革命を振り返ると、大まかに3つのフェーズがあった。新エネルギーと技術が産まれた第1段階。高度な応用により、技術が実装された第2段階。航空システムのように、機械と産業が結びつき、複雑なエコシステムが築かれた第3段階。

 産業革命以降の世界に日本が参加したのは、明治期のフェーズ2の初期である。文明開化以降、教育・郵便などの全国に拡がるシステムの構築や、軍隊・銀行・株式会社の設立など、留学した元維新志士たちの働きで国家の西洋化が進んだ。戦後の経済では、自動車・電気機器など、精度の高いものづくりの分野で猛烈に世界へキャッチアップし、新幹線やポータブルオーディオなどの、独自のエコシステムを構築していった。



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