『名探偵コナン』怪盗キッド/黒羽快斗の魅せる華麗なるショータイム
映画ごとに、異なる魅力を放つ怪盗キッド
怪盗キッドの客演は、劇場版シリーズでも定番となっている。歴代劇場版23作品の中から、6作品の"キッド映画"を紹介しよう。これらの作品は、DVDや配信はもちろん、フィルムコミックやノベライズでも楽しむことができる。
まず鉄板といえば、第3作『世紀末の魔術師』。怪盗キッドが銀幕デビューを果たした作品で、今なおファンに語り継がれる傑作でもある。
第8作『銀翼の奇術師』は、コナンVSキッドの対決と、互いの能力を信じた連係プレーが楽しめて、二重に美味しい一作だ。あっと驚きたい人は、第10作『探偵たちの鎮魂歌』がオススメ。初見の方はぜひネタバレを避けて、物語の隅々までお見逃しなく。
キッドとコナンの関係性を楽しむなら、第14作『天空の難破船』。絶体絶命となったコナンを助けたり、渋々ながら協力関係を結んだり……。決して敵対するだけではない2人が描かれる。
"ヒール"な怪盗キッドを味わえるのが、第19作『業火の向日葵』。世界を手玉に取り、コナン達を困惑させる姿は、神出鬼没の大怪盗というキッド像への原点回帰と言えるかもしれない。
そして、昨年公開された第23作『紺青の拳』。本作では、キッドがお宝のもとに潜入するドキドキワクワク過程を、"キッド本人の視点"で楽しむことができる。キッド視点のパートでは、どこか『まじっく快斗』で描かれる素顔の"黒羽快斗"らしさが滲む。ちなみに、お互いを警戒しながらも、盗みと殺人事件のために手を結ぶコナンとキッドは、『天空の難破船』にも近い関係値に感じられる。
"キッド回"を楽しみ尽くす秘訣は、フィナーレを迎えた後、もう一度最初から見直すことだ。お宝を巡る背景、詩的な予告状、アッと驚くトリック。それらの謎が“種明かし”されると、その物語には怪盗キッドの姿が浮かび上がり、新たな輝きを放つ宝石となる。
コナンとキッドの対決エピソードは、コナンが謎を暴く推理物であると同時に、怪盗キッドが魅せるマジックショーなのかもしれない。さあ、キッドの華麗なるショーをとくとお楽しみあれ!
■宮崎栞
編集・ライター・プランナー。編集プロダクションでエンタメ系の書籍・雑誌制作に多数携わり、現在フリーランスとして活動中。Twiter(@siorin7work)