『裸一貫!つづ井さん』に学ぶ、腐女子の幸せな生き方 “自虐をしない”作風に込められた決意
最新刊をリリースするにあたり、つづ井さんはnoteに『「裸一貫!つづ井さん」についてちょっと真面目に話させてくんちぇ〜』というタイトルで記事をアップした。「私が『裸一貫!つづ井さん』の連載を始めるときに、決めたことがあります。それは「自虐をしない」ということです」という言葉に、Twitterを中心に大きな反響があった。それだけ、同じような心境の人がこの世の中には多いのかもしれない。
「“彼氏のいない女性”が毎日ただ幸せである、ということを言葉のまま受け止めてくれる人は(体感として)あまりいませんでした」そして、恋愛経験の少なさ、容姿、インドアな趣味など、一般的な女性と比較して“違う”部分を中心に、楽しくない形で話題にあげられたことも少なくなかったという。
その苦痛を回避しようと、つづ井さんが導いた策が先回りして自虐するということ。しかし、それはじわじわと彼女にストレスを与え、結果的に円形脱毛症になってしまったこと。「そういう扱いをしていい人」に自ら収まってしまっていたと語る。
「他人の気分をよくするために勝手に削られて、私がああいう言動を選んでいたことで嫌な思いをした人もいたかもしれない」「いじってもいいという土壌を作ってしまったかもしれない」「一緒に過ごした大切な友人や私の絵日記を読んでくださる読者の方に申し訳ない、恥ずかしい、情けない……大反省しました」とも。
だから、新シリーズのモノローグでは、職場などで囁かれる「いつまでそんな感じなの?」「ちゃんと将来考えなよ~」という声に「特にな~んとも思ってませ~ん ピッピロピ~」と、実にあっけらかんと答えている。自虐の時代は終わった。自分の「好き」や「楽しい」に正直に生きていいのだ。もしバカにされたり、突かれたりしたら「ピッピロピ〜」と心の中でつぶやけばいいのだ、と。
もちろん、“違う”部分を受け入れられない人からの、心ない言葉に深く傷つくこともまだまだある。悔しくて涙が出たり、息がしにくいと思うこともあるだろう。だが、そんな冷たい言葉が溢れる世の中よりも、「ピッピロピ〜」「毎日楽し〜!」「HAPPY LIFE☆」という声があちこちから聞こえてくる未来のほうがいいではないか。
だから、つづ井さんは「不思議なくらい生きるの楽しい〜! 」と言い続ける。その叫びに共鳴するように、多くの人が笑顔で彼女の本を手に取る。つづ井さんの革命は、まだまだ始まったばかりだ。
はぁー、つづ井さん。生まれてきてくれてありがとうとかのレベルじゃない。お年玉とか渡したい。つづ井さんが生まれ、育ち、生きている。こんなすばらしいことってない。宇宙の神秘を感じずにはいられない……ありがとう人類……ありがとう宇宙……宇宙!
(文=佐藤結衣)
■書籍情報
『裸一貫! つづ井さん 1』
つづ井 著
価格:本体950円+税
発売/発行:文藝春秋
文藝春秋BOOKS:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163910932