アニソンのトレンドに変化? YOASOBI、aiko、羊文学……同一アーティストのOP/ED起用が増える理由
2026年1月より放送がスタートするTVアニメ『花ざかりの君たちへ』(TOKYO MXほか)において、YOASOBIがオープニングテーマとエンディングテーマの両方を担当する。
YOASOBIは今回の起用に際し、「お話の始まりと終わり、そのどちらもを通してこの作品に花を添えられるよう精一杯努めさせていただきます」(※1)とコメントを寄せている。11月8日には、オープニングテーマ「アドレナ」とエンディングテーマ「BABY」の一部を聴くことのできるアニメPVも公開され、作品への期待は募るばかりだ。
YOASOBIは2021年に放送された『BEASTARS』(フジテレビ系)第2期でも、「怪物」と「優しい彗星」でそれぞれオープニングテーマとエンディングテーマを担当していた。同じように、BUMP OF CHICKENも『3月のライオン』(2016年/NHK総合)、岡崎体育は『ポケットモンスター サン&ムーン』(2018年/テレビ東京系)において、オープニングとエンディングの両テーマ曲を手掛けている。
2025年に放送されたTVアニメでいえば、『アポカリプスホテル』(日本テレビ/ABEMAほか)のaiko、『Let's Play クエストだらけのマイライフ』(フジテレビほか)の久保田利伸、『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』(TOKYO MXほか)の羊文学なども挙げられるだろう。2024年放送の『「鬼滅の刃」柱稽古編』(フジテレビ系)も、オープニング主題歌が「夢幻」、エンディング主題歌が「永久 -トコシエ-」で、どちらもHYDEとMY FIRST STORYによるコラボ曲だった。こうして見ていくと、同一アーティストがオープニングテーマとエンディングテーマを両方担当するケースは、近年増加傾向にあるように思う。
同一アーティストがオープニングとエンディングの両方を手がけるメリットとして、アニメ側の視点でいえば、作品全体の統一性が高まる点が考えられる。始まりと終わりを同じアーティストが担うことで、音楽と物語が自然と一体化し、トータルで作品の世界観を押し出すことができるのだ。また、アーティストの楽曲が作品を構成する要素のひとつとして機能することで、そのアーティストのファンの興味を喚起し、作品へと誘導しやすくなる。
アーティスト側も、深く作品にコミットすることで、より理解度の高い楽曲を制作することができるだろう。さらに、2曲分の接点が視聴者とのあいだに生まれるため、表現の振れ幅を見せることも強みだ。今回のYOASOBIと『花ざかりの君たちへ』の例でも、楽曲の一部が解禁されたアニメPVから、オープニングテーマの「アドレナ」は作品のハラハラドキドキ感を表したようなアッパーチューン、エンディングテーマの「BABY」は主人公のピュアな恋心を映し出すようなポップソングであることが予想できる。異なるタイプの楽曲を届けることで、さまざまな趣向の視聴者/リスナーへのアプローチが叶うだろう。
過去にも、作品とアーティストが強く結びつき、名タッグとして語られる例は多くあった。アニメやアニソンが世界的ヒットに繋がるコンテンツである今、作品とアーティストが密接に連携し、相乗効果を発揮することが重要になってくる。同一アーティストがオープニングテーマとエンディングテーマの両方を手がけるケースは、今後ますます増えていくかもしれない。
※1:https://hanakimi-anime.com/#music_area
























