草彅剛、2度目の日本アカデミー賞へ これまでの経験を糧に「最高傑作」を更新し続ける名優に

 『第48回日本アカデミー賞』の各優秀賞が発表され、映画『碁盤斬り』で主演を務めた草彅剛が優秀主演男優賞を受賞した。草彅といえば、『第44回日本アカデミー賞』(2021年)において、映画『ミッドナイトスワン』で最優秀主演男優賞を受賞したことも記憶に新しい。各部門の最優秀賞を発表する授賞式は3月14日に東京・グランドプリンスホテル新高輪で開催される予定とあって。期待が高まるばかりだ。

祝・日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞しました!ありがとうございます!!【碁盤斬り】

 昨今、草彅の俳優活動を見ていると新たな主演作品が発表されるたびに「代表作」「最高傑作」「新境地」と絶賛の声が上がっている。それは、草彅自身もそう感じているようで、出演作についてたしかな手応えを言葉にしているのを耳にしてきた。

 なぜ、草彅剛は傑作を更新し続けているのか。その答えのひとつが、圧倒的なインプット量だと感じている。YouTube動画「日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞&最優秀作品賞を受賞しました!本当にありがとうございます!【ミッドナイトスワン】」では、授賞式に出席したときの感想を述べながら、受賞メンバー(佐藤浩市、小栗旬、二宮和也、菅田将暉)についてこんなことを話していた。「みなさんが思っているより、みなさんのことを意識していますし、すごい尊敬しています。だから小栗くんの作品も観ていますし、ニノちゃんの作品とかも観てるし。普段言う機会がないだけであって、すごく意識している方たちだったので、嬉しかったですね」と。菅田に関しては音楽面についてもチェックしているそうで「ファンなんです」と話すほどだった。

日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞&最優秀作品賞を受賞しました!本当にありがとうございます!【ミッドナイトスワン】

 思い返せば、草彅はひとたび好きなものについて話し出すと止まらない一面がある。「話す機会がないだけで」と言っていたように、機会さえあればいくらでも好きな演劇作品について話してくれるに違いない。その機会のひとつとなったのが、映画『パラサイト 半地下の家族』が脚光を浴びたタイミングだった。かねてよりポン・ジュノ監督の大ファンであり、主演したソン・ガンホについては「いちばん尊敬する俳優」と熱く語っていたのを思い出す。そして『パラサイト 半地下の家族』の舞台挨拶では、草彅がサプライズで登場し、作中に出てきた小道具のインディアンの被り物の色について質問したことがあった。ポン・ジュノ監督からは「今、草彅さんにそう言われて、なんとなくそんな意味もあったのかなという気がしてきました」と驚かれ、ソン・ガンホも「草彅さんに言っていただいて、本当にそうだなと納得しました」と草彅の鋭い視点に感心していた様子だった。

 物語に存在する小さなポイントをも見逃さず、そこから想像力を広げていくことができるのもまた、草彅の大きな武器だ。彼がデニムやバイク、ヴィンテージものを好んで収集しているというのは有名な話だが、その“愛で方”というのがまさにそうなのだ。シワや傷などダメージ部分を見つけては、「こんな働き方をしていたのではないか」「このシワがあるということは、こんなふうに座っていたのではないか」などと想像を膨らませて、何十年も前にあったかもしれない世界を思い描き、そこに生きる人々を愛してリスペクトする。その作業は、フィクションの世界を作り上げる能力に通じているようにも思える。

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