BEYOOOOONDS、「灰toダイヤモンド」首位はじめ各部門で存在感 2024年版ハロプロ楽曲大賞を振り返る

 ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)を愛する者たちの間で毎年恒例のファンイベントとなっているのが「ハロプロ楽曲大賞」。インターネット上で投票を募り、1年間に発表された楽曲に順位を付けてみんなで楽しく盛り上がろうという趣旨の催しである。昨年末も『第23回ハロプロ楽曲大賞'24』と銘打って開催され、大きな盛り上がりを見せた。

(総順位などの結果は告知サイトをご覧ください。https://www.esrp2.jp/hpma/2024/)

 リアルサウンドには毎年順位に関する分析記事を筆者は寄稿しているが、今回もまた2024年版記事をここにお送りする。それでは早速順位を振り返っていこう。

(以下の論考は、下記URLのランキングと併せてお読みください。https://www.esrp2.jp/hpma/2024/comment/result/song.html)

楽曲部門1位:BEYOOOOONDS「灰toダイヤモンド」

BEYOOOOONDS『灰toダイヤモンド』Promotion Edit

 今回の1位はBEYOOOOONDS「灰toダイヤモンド」が獲得した。BEYOOOOONDSといえば寸劇パートなどのコミカルでトンチキな部分がクローズアップされがちだが、この曲ではそういった要素を一旦抑えて、“普通にかっこいい”曲に仕上がっているというのが大きな特徴となっている。

 曲調としてはハロプロ楽曲王道のディスコファンクサウンドだが、ダブル主旋律や4声コーラスといった構造、清野桃々姫によるトークボックス、小林萌花によるエレクトリックピアノソロなど、随所にフックが盛り込まれており、飽きることがない。これは一朝一夕でできるものではなく、これまでのBEYOOOOONDSの活動の積み重ねがあってのものだろう。その完成度の高さが、BEYOOOOONDS一推しファンにはもちろん、ハロプロの他グループを推すファンたちからも支持を集めたのだろう。そうでなければ、2位とのダブルスコア以上の投票ポイント差になることはないと思う。

楽曲部門2~3位:Juice=Juice「トウキョウ・ブラー」/BEYOOOOONDS「Go City Go」

Juice=Juice『トウキョウ・ブラー』Promotion Edit
BEYOOOOONDS『Go City Go』Promotion Edit

 第2位はJuice=Juice「トウキョウ・ブラー」。作詞は山崎あおい、作編曲はスウェーデン出身のソングライターであるエリック・リボムという組み合わせによる楽曲で、Juice=Juiceらしいスタイリッシュかつキャッチーな1曲。2023年の1位曲「プライド・ブライト」に続く2年連続首位という事前順位予想をしていた人も多かったように感じるが、今回は「灰toダイヤモンド」が強かったようだ。

 第3位は、1位と同じくBEYOOOOONDSの「Go City Go」。楽曲テーマは俳句の定型「五・七・五」で、東海道新幹線の駅名が歌詞に組み込まれており、JR東海とのコラボレーション企画に起用された。そういったギミック先行の作りはこれまでのBEYOOOOONDSの路線であり、「灰toダイヤモンド」と対照的ではあるが、結果としてはその2曲ともトップ3に入るという支持を集めた。

楽曲部門4位~

 以下はグループ別に見ていこう。

【モーニング娘。'24】

モーニング娘。'24『最KIYOU』Promotion Edit

 モーニング娘。'24が2024年8月にリリースした両A面シングルに収録の「最KIYOU」が4位、「なんだかセンチメンタルな時の歌」が5位と、2曲が連続した。「なんだかセンチメンタルな時の歌」はつんく♂提供曲の中でも特に攻めた1曲だったので順位の予想がつかなかったが、それでもトップ5に収まる支持を集めた。

 2024年11月リリースのアルバム『Professionals-17th』収録曲では、「「恋人」」が11位で最高位となった。以下は14位に「勇敢なダンス」、19位に「ムカ好き!」と続く。アルバムにはユニット曲もいくつか収録されていたが、その中では生田衣梨奈・石田亜佑美・野中美希・牧野真莉愛・櫻井梨央・弓桁朱琴が歌う「幸せ指数 発表されたい」の35位が最高位となった。

【アンジュルム】

アンジュルム『美々たる一撃』Promotion Edit

 アンジュルムは、トップ10内に「美々たる一撃」(6位)、「RED LINE」(7位)の2曲を送り込んだ。どちらもシングル表題曲で、特に後者は2023年12月リリースと投票期間からかなり離れてはいたが、見事上位入賞となった。

 楽曲大賞の傾向として、やはりアップテンポで勢いのある曲の方が上位にランクインする確率が高いが、そんな中でのミッドテンポチューン「うわさのナルシー」の16位というランクアクションは興味深い。

【Juice=Juice】

Juice=Juice『ナイモノラブ』Promotion Edit

 今回のノミネートリストでは、Juice=Juice楽曲は全部で5曲のみとなったが、その5曲とも50位以内に収まるという好成績を見せた。

 2位の「トウキョウ・ブラー」とともにベスト10入りしたのが、8位の「ナイモノラブ」。メンバーが思いがけなかった箇所にファンコールが入るなど、ライブをやっていく中で演者と観客が協力して育てていった楽曲のランクインは、ある意味当然とも言えるかもしれない。

【つばきファクトリー】

『Power Flower ~今こそ一丸となれ~』 February 10,2024 TACHIKAWA STAGE GARDEN

 つばきファクトリーのグループ最高位は、「Power Flower 〜今こそ一丸となれ〜」の13位。湘南乃風のSHOCK EYE提供による俄然強めな曲調がパワフルだった。

 しかし、今回の上位10位まで見ていくと、他のハロプログループが1曲以上送り込んでいるのに対し、つばきファクトリーだけは1曲もベスト10に入れずという結果になってしまった。つばきは例年トップ3に入ることが多く、2022年には「アドレナリン・ダメ」が1位だったこともあるので、結果がふるわずの年も存在するのは、長く続くグループである以上致し方ないところだろう。

【BEYOOOOONDS】

BEYOOOOONDS『フックの法則』Promotion Edit

 1位の「灰toダイヤモンド」、2位の「Go City Go」に続き、9位には「フックの法則」が入ったことで、トップ10内にBEYOOOOONDS楽曲が3曲もランクインするという輝かしい結果となった。しかもこの3曲は同じトリプルA面シングル曲で、さらに3曲とも児玉雨子作詞、星部ショウ作曲というコンビによる制作曲なのが面白い。BEYOOOOONDSの現在の充実ぶりを示すチャートアクションだったといえるだろう。

 そのシングルのアディショナルトラックだった「Oh! カンターレ」「恋する銀河」「WORKER讃歌」がそれぞれ12位、15位、33位と、いずれもトップ50内に入ったというのも頼もしい結果だ。

【OCHA NORMA】

OCHA NORMA『ちはやぶる』Promotion Edit

 OCHA NORMAのグループ最高位は、シングル表題曲「ちはやぶる」の10位だった。和風ロック的な勢いのあるサウンドで、この曲が一番ファンの支持を集めたというのもうなずける。

 その他は「ラヴィ・ダヴィ」21位、「宇宙規模でダイスキ宣言!」38位と続く。これらはライブ限定曲として昔から披露されていたものだが、2024年1月リリースのグループ初アルバム『CHAnnel #1』に収録されたことで今回ようやくノミネートされ、やっと投票が叶ったファンも少なくなかったのではないだろうか。

【その他】

稲場愛香『圧倒的LØVE』Promotion Edit

 20位には稲場愛香「圧倒的LØVE」がランクイン。ハロプロOGが中心に所属するM-line Music所属アーティストとしては最高位となる。

 23位「カモン・ミックス!」は、春日井製菓『つぶグミ』のタイアップソングで、ハロプロ各グループから選抜されたメンバーにより構成されたシャッフルユニット的な顔ぶれが歌っている。同じく、M-line所属メンバー5人により構成されたSIOOM (from M-line Music)による「C\C(シンデレラ\コンプレックス)'24」は43位だった。

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