鈴木みのり、中島愛に続く“歌姫”の座は誰の手に? これまでの軌跡、『新マクロス』オーディションの可能性
アニメ『マクロスF』のランカ・リー役中島愛、アニメ『マクロスΔ』のフレイア・ヴィオン役の鈴木みのりを輩出した、『歌姫オーディション』が約10年ぶりに開催。『マクロス』シリーズ最新作の歌姫役を募集するオーディション『マクロス×サンライズ「新マクロス」超時空歌姫オーディション2025』の詳細が発表された。
『マクロス』シリーズは、宇宙を舞台に繰り広げられる戦いの最中でアイドルが成長する過程が描かれ、その歌声で人を癒やし、時には味方の戦力を鼓舞する役割も担うことから、アニメ『超時空要塞マクロス』のヒロインであるリン・ミンメイの声と歌唱を務めた飯島真理を原点に、歴代様々なキャラクターがボーカルを務めてきた。そのため、『マクロス』シリーズにおけるオーディションは作品のクオリティを左右する最重要案件とも言える。2007年に開催されたオーディションでは、約5,000通の応募から中島が選ばれ、『マクロスF』のランカ役で声優/歌手デビューを果たした。また、2014年に開催されたオーディションには約8,000人が応募。鈴木が『マクロスΔ』のフレイア役に選ばれ、同時に戦術音楽ユニット・ワルキューレのメンバーとしてもデビュー。まったくの素人だった2人は、『マクロス』シリーズへの出演を経て、声優としてもアーティストとしても人気を集めることになり、同作のオーディションは彼女たちの人生を変えるきっかけとなった。
上記二作品の共通項には、『マクロスF』のシェリル・ノーム(May’nが歌唱を担当)と、『マクロスΔ』の美雲・ギンヌメール(JUNNAが歌唱を担当)のように、圧倒的な歌唱力を誇るボーカリストと、持ち前のポジティブさと努力で成長し続ける新星(ランカ/フレイア)によるツートップの構造がある。物語を通して、圧倒的なカリスマ/エースの背中を追いかけながら、その存在に肉薄する存在となっていくランカとフレイアの姿は、デビュー当時の初々しかった2人が成長を遂げ、個人としても活躍していくシンデレラストーリーとも重なったことが、ファンが“推せる”要素となったと言える。
中島は、昭和アイドルやシティポップの熱心なファンであることでも知られる。実際にランカとして歌った「星間飛行」は、松田聖子の楽曲を多数手掛けた松本隆が作詞を担当し、アイドルチックな甘さと初々しくフレッシュなボーカルを聴かせた。シェリルが中森明菜だとすれば、ランカは松田聖子のような存在だと言えるかもしれない。ランカは実際に劇中でもアイドルとしてデビュー、劇中のCMソングとして歌う「スターライト納豆」「ファミリーマート・コスモス」なども、実にアイドルらしいかわいさとユーモアにあふれ、中でも「ニンジーン Loves you yeah!」はTikTokでも多くの動画に使用されている。
また『劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜』の劇中で使用された「放課後オーバーフロウ」では、透明感のある高音と危うさを感じさせるニュアンスが、明るい曲調の中に切なさを感じさせて絶妙だ。そんな中島のボーカルは、特にパワフルなシェリル=May’nとのデュエット曲において、甘さを残した疾走感あふれる歌声で存在感を発揮する。『マクロスF』の放送10周年を記念して2018年にリリースされた「Good job!」では、10年を経て磨きをかけた歌唱力でシェリルと対等に渡り合う、2人のデュエットに胸が熱くなった。
鈴木は憧れの人物として、中島やランカの母親であるランシェ・メイ役を務めた坂本真綾などを挙げている。鈴木が演じたフレイアは『マクロスΔ』の作中でも、憧れのワルキューレの新メンバーオーディションを受けるために故郷を出るという、鈴木自身と重なるストーリーが展開された。ワルキューレは5人組の音楽ユニットで、フレイアはユニットのエースボーカルである美雲とは対照的な魅力を放つ。そんな彼女がメインボーカルを務める「ルンがピカッと光ったら」は、軽快なサウンドと言葉遊びが詰まった、フレイアの天真爛漫な明るさあふれる歌声が魅力的な1曲。
一転、しっとりとしたムードのミディアムナンバー「風は予告なく吹く」では、切なく儚い存在感を発揮している。また、第16話の挿入歌「God Bless You」では愛を知った喜びを実に幸福感にあふれた歌声で聴かせるなど、明るさをベースにしながらも鈴木の引き出しの多彩さを感じることができる。もちろんメインを務める楽曲だけではなく、ほかのメンバーがメインを務める楽曲でのコーラスワークも見事で、「絶対零度θノヴァティック」や「ワルキューレがとまらない」などで魅せる緻密なハーモニーも聴き応えがある。