アニメ『マクロス』シリーズ、各年代の“これだけは聴いてほしい”楽曲の数々 サブスク解禁を機にピックアップ

娘々FIRE!! 〜突撃プラネットエクスプロージョン
V.A.『娘々FIRE!!~突撃プラネットエクスプロージョン/ヴァージンストーリー』

 アニメ『マクロス』シリーズ関連楽曲580曲のストリーミング配信が、各サブスクリプションサービスで10月1日よりスタートした。1982年に放送開始された『超時空要塞マクロス』に端を発する同シリーズは、以後約40年間にわたってコンスタントに新作が制作されている、日本を代表するロボットアニメシリーズのひとつだ。

 サブスク解禁を機に、同シリーズの音楽世界に触れてみたいというリスナーの中には、「曲が多すぎてどこから聴いていいのかわからない」と途方に暮れている人もいるかもしれない。そこで、これだけは聴いて欲しいと思う楽曲を各年代から数曲ずつ、独断と偏見に基づいて紹介していきたい。

避けては通れない、絶対的な2曲

 シリーズ中で最も重要ともいえる楽曲が『マクロスF(フロンティア)』(2008年)挿入歌ランカ・リー=中島愛「星間飛行」であることに異論のあるファンは、おそらくごく少数だろう。わざわざ紹介するまでもないほどの定番曲であるため、ここでは詳細な解説は割愛する。

ランカ・リー=中島愛「星間飛行」

 今回初めてサブスクで聴けるようになった定番曲といえば、その筆頭は劇場アニメ『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984年)主題歌の飯島真理「愛・おぼえていますか」だろう。「星間飛行」と同等か、それ以上にファンから深く愛され続けている不朽の名曲で、加藤和彦が作曲、安井かずみが作詞を手がけている。

飯島真理「愛・おぼえていますか」

 近年あまり聴かれなくなった“ドン・ドドン・タン”と4拍目のみにアクセントが来るゆったりしたリズムパターンを持つバラード曲で、キラキラしたシンセを惜しみなく使ったAOR寄りのサウンド感が80年代らしい1曲。飯島がソロシンガーとして歌う洋楽のようなAOR系の楽曲よりもはるかに歌謡テイストに寄せているため、広く一般に親しまれたのもうなずける。2019年にNHK BSプレミアムにて放送された特番『発表!全マクロス大投票』では、歌部門1位に輝いている。

 『マクロス』シリーズ楽曲を語る上で絶対に避けては通れないのが、上記2曲だ。万が一未聴の人は、問答無用で今すぐ聴いておこう。

初代は名曲・珍曲の宝庫

 ここからは、年代別に注目曲をかいつまんでピックアップする。初代『超時空要塞マクロス』(1982年)では、飯島演じるヒロインのリン・ミンメイが歌う数々のアイドルポップスがもれなく秀逸だ。中でも「私の彼はパイロット」は白眉で、抑えの効いたバンドサウンドに流麗なストリングスが添えられた王道80年代アイドルポップスでありながら、どこからどこまでがAメロ・Bメロ・サビなのかがまったくわからない作りとなっている。野心的であると同時に、音楽的にも高度な1曲と言えよう。作曲は、初代シリーズの音楽全般を担当したクラシック界の重鎮・羽田健太郎だ。

飯島真理「私の彼はパイロット PARTI」

 もうひとつ外せないのが、初代の主題歌である藤原誠「マクロス」。同じく羽田の手によるものだが、やはりAメロ・Bメロといった構造がハッキリしない曲で、そもそもジャンルがよくわからない。ブラスバンド曲のように始まり、ムード歌謡っぽい展開をしたかと思えば強引にフュージョンテイストが盛り込まれ、執拗なまでにリズムチェンジを繰り返しながら最終的に〈マクロス マクロス マクロス〉とタイトルを朗々と歌い上げて終わるという、実にプログレッシブな構造となっている。

藤原誠「マクロス」

 当時のロボットアニメでは、内容の重厚さに反比例するような能天気で勇ましい主題歌が定番であった(たとえば『機動戦士ガンダム』の「翔べ!ガンダム」など)。が、これはそれとも毛色が違う。タイトルを連呼するパートなどは当時のアニソンのようではあるものの、勇ましさよりはアダルトなムードが強調されており、かといってそれ一辺倒でもない。なんともつかみどころのない、シリーズ史上でも群を抜いて異彩を放つ奇曲と言っていいだろう。一般的にはあまり語られることの多くない1曲だが、後世に語り継がれるべき曲ではあると思う。

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