Ooochie Koochie、COMPLEX、INABA / SALAS、岡村和義……挑戦を続けるベテラン同士の“ユニット”活動

 奥田民生と吉川晃司が、新ユニット・Ooochie Koochie(オーチーコーチー)を結成した。

 奥田と言えばユニコーンのボーカリストとして、そしてソロアーティストとしても幾多の代表曲を持つ、日本を代表するアーティストの1人。一方の吉川もシンガーソングライターとして、後述するCOMPLEXのメンバーとして、そして音楽以外にも様々な活動を展開する日本を代表するアーティストだ。これまでそれぞれが異なる領域で偉業を達成してきた2人の共通項は、“1965年生まれ”であること、そして“広島生まれ、広島育ち”であるという点。広島と言えば、西城秀樹、矢沢永吉、浜田省吾、ポルノグラフィティ、JUJU、Perfumeなど、多彩なアーティストを生んだ土地。同じ広島で生まれ育った2人のユニットだからなのか、はたまた今年還暦を迎える彼らなりの“ちゃんちゃんこ”なのか、その真意は今のところ不明ではあるが、アーティスト写真やユニットの公式ホームページ、身に纏う衣装まで、至るところが広島東洋カープを彷彿とさせる赤色で統一されている。こうした細やかな部分にも奥田と吉川のユニットだからこその気概を感じる。

Ooochie Koochie 「GOLD」Music Video

 そんなOoochie Koochieの第一弾楽曲「GOLD」は2人が青春時代を過ごした70年代後半のディスコを彷彿とさせるダンサブルな楽曲となっており、20歳前後にはすでに上京していた2人が、もしも広島で過ごしていたら? という設定で歌詞が描かれている。広島が舞台という点で象徴的なのは、1番が終わりギターソロを経た後のフレーズだ。

〈バイパス走りぬけ 見たかったのは 赤いゲートの向こう側の方〉

 広島で“赤いゲート”と言えば、嚴島神社の大鳥居が連想されるのではないだろうか。奇しくも「GOLD」を作詞した奥田は、ギター1本での弾き語りライブシリーズ『ひとり股旅』のスペシャルと題して過去に嚴島神社でライブを開催したこともある。故郷の象徴的存在である場所をイメージさせるワードを歌詞に盛り込むことで、彼らの故郷への想いが一層感じられるフレーズとなっている。Ooochie Koochieの活動を通した広島への恩返しは始まったばかりだ。

COMPLEX/「COMPLEX 20240515-16 日本一心」 - teaser-

 吉川は、前述したCOMPLEXとしての活動も忘れられない。布袋寅泰と結成したユニットであるCOMPLEXは、吉川と布袋の活動を振り返る上で忘れてはならない存在だ。1988年に結成、1990年に活動休止という駆け抜けるような2年間の活動の中でリリースしたシングル、アルバムはオリコンチャートで全作1位を記録。一方、1990年以降はCOMPLEXとしての活動は止まったままとなっていたが、2011年に東日本大震災の復興支援チャリティーライブ『日本一心』を開催し、2日間だけ再び活動したのだ。さらに昨年の能登半島地震を受け、昨年5月には2011年以来13年ぶりに『日本一心』を開催するなど、近年では吉川と布袋が抱く日本という国への愛情を感じさせる活動を展開している。Ooochie KoochieとCOMPLEX、そのキャリアは違えど、ともに吉川の故郷への強い想いを窺い知ることができる。

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