増田貴久、パフォーマンスのみで魅せた初のソロコン クリエイティブでストイック、音楽愛あふれたステージに

NEWS 増田貴久が初のソロコンサート『増田貴久 1st LIVE 喜怒哀楽』を開催した。2月18日の大阪公演を皮切りに、2月25、26日東京公演と2都市4公演で計26,700人を動員し、自身初のソロライブを大成功させた。本稿では東京ガーデンシアターで行われた2月25日公演の模様をレポートする。
今回のライブは、先日発売となったソロデビューアルバム『喜怒哀楽』を携えたもので、全編セルフプロデュースの公演。今回のライブに挑むにあたって増田は、「NEWSに育ててもらった増田貴久が1人でどんな作品を作れるのか。戦ってきます! スタッフ、バンド、ストリングス、ダンサーの皆さんと一緒に頑張ります!」とコメントを寄せた。
開演前の会場にはアルバム曲のインストゥルメンタルが流れ、スクリーンにはシンプルなツアーロゴが表示されている。客席もそわそわとした雰囲気に包まれ、アーティスト・増田貴久の純度100%の表現に期待が高まっていた。
照明が落とされ、コーラスが流れ始めると、白い衣装に身を包んだ増田がステージの中央に登場。オープニングを飾ったのはアルバムとツアーのタイトルでもある「喜怒哀楽」だ。圧巻のアカペラから激しいラップまで、観る者を惹きつけるたった1人のステージパフォーマンスからライブがスタート。そしてその迸るパワーは「Master's bomb」のクールで激しいステージングへと繋がっていく。
ミュージカル調の演出が施された「Venom」も見所となった。ステージを覆うように落とされた紗幕に幻想的な映像が映し出されると、会場の雰囲気がガラッと変化する。バンドや総勢25名のストリングス、そしてダンサーを率い、大迫力の演奏と群舞、自由自在に声色を操るボーカルで魅せていく。
そしてその歌唱力は、カバー曲でも余すところなく発揮された。Every Little Thingの「恋文」、山下達郎の「FOREVER MINE」を続けて披露。原曲の歌唱法をなぞり雰囲気を再現しつつ、パワフルで明瞭なボーカルが歌詞の世界観を新たに描き出していく。ストーリーテラー的でもあり、音楽への情熱をダイレクトに感じられるシーンでもあった。
パーカッションとアコースティックギターで奏でられた「キャンディ」で客席との距離感をぐっと近づけた後は、テゴマスのデビュー曲「ミソスープ」へと続き、観客からは驚きや喜びの声が上がる。ファンも手拍子やコーラスで楽曲を彩り、その一体感に圧倒されるほどだ。そんなファンを優しい笑顔で見つめる増田の表情も印象的。曲終わりの大きな拍手と共に涙をこらえるファンの声も聞こえ、絆を強く感じる時間だった。さらに「hanami」「戀」と続き、増田ならではの甘いボーカルやあたたかな雰囲気を感じられる楽曲が続く。

次のブロックでは、黒のトップスとピンクのボトムスに衣装チェンジし、「Symphony of Dissonance」「kawaii」「Pumpkin」「Girls That Dance」「Remedy」とダンスナンバーを新旧織り交ぜて披露。険しさからキュートさまで、時にはセクシーさを垣間見せるなど様々な表情を携え、ダンサーや激しいライティングとシンクロしながら次々と展開していった。
増田のクリエイティブな一面を堪能できた「XXX」は、ライブ中盤の目玉と言ってもいいだろう。トップスをツアーTシャツに着替え再登場すると、ステージ中央に置かれたサンプラーで次々とビートを生み出していく。ミニマルなビートメイクから徐々に「XXX」のフレーズが輪郭を表していき、拡声器やオートチューンなど周囲に置かれた様々なマイクを使って自らの声を駆使しながら、ライブでしか体感できない1曲に仕上げていった。そんな圧巻のプレイから重低音を効かせた「Echoes」へと続き、その激しさに客席の熱量も増すばかりだ。
ストリングスとバンドが再びステージに登壇し、壮大なスケール感で歌われたのは加藤シゲアキ作詞の「おやすみなさい」。楽器の音とともに声がどこまでも伸び、会場中に広がっていく。かと思えば、ソウルフルなボーカルで地底から客席を震わせるような歌唱も繰り出し、楽曲の持つ深みや広がりを余すところなく具現化していった。