Perfume、斉藤和義、増田貴久、なとり、高畑充希、oops cool……注目新譜6作をレビュー
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はPerfume「Human Factory - 電造人間 -」、斉藤和義「透明の地図」、増田貴久「喜怒哀楽」、なとり「DRESSING ROOM」、高畑充希「雨とペトラ Prod. by 東京スカパラダイスオーケストラ」、oops cool「スキャンダラス」の6作品をピックアップした。(編集部)
Perfume「Human Factory - 電造人間 -」
本人役でPerfumeの3人も出演している映画『ショウタイムセブン』主題歌。公式サイトのコメントによると「最後に流れるこの主題歌でお客さんの心がふぁ〜っとほどけたら嬉しいなと思っています」(※1)とのことで、いわば非日常から日常に戻っていくための橋渡し。夢と現が混ざり合い、不穏と快感のどちらにも触れていく、今までありそうでなかったダンスミュージックに仕上がっている。シンセによる副旋律は初期YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)を彷彿とさせるもの。時流を考えれば音数をもっと差し引くほうが洗練された印象になるのだろうが、終始雄弁に鳴り響くシンセサイザーには、電子音楽でオーケストラに肉薄できるかと奮闘してきた先駆者たちの魂を引き継ぐような熱量が宿る。(石井)
斉藤和義「透明の地図」
1月27日に東京・Zepp Hanedaで開催された『能登半島復興支援チャリティコンサート~空に星が綺麗プロジェクト~』のアンコールで初披露された「透明の地図」は、若い恋人たちが一緒に住む街を散策したり、指輪を渡したり、やがて家族になっていくであろう様子を叙情的に描いたミディアムチューン。印象的なのは〈きっときっと良いことが/待っているような気がする〉という歌詞。未来に期待が持てない、結婚するメリットも見い出せない……といったニュースをよく目にする昨今だが、そんな情報なんて関係なく、「大事な人と一緒に暮らすのは素敵じゃない?」とこの曲は語りかけているのだと思う。ジャズの風味を取り入れたオーガニックな音像、ゆったりと肩の力が抜けたボーカルが映し出すノスタルジックな空気も心地よい。(森)
増田貴久「喜怒哀楽」
NEWS 増田貴久の1stソロアルバム『喜怒哀楽』はハードなダンスチューンから名曲カバーまでを網羅する多彩な内容となっているが、この表題曲だけでも濃さは伝わるはず。冒頭はアカペラ独唱で20秒をたっぷり歌い上げ、いきなりドープなラップパートへ。怒りをぶちまけるボースティングを披露したかと思えば、中盤からはドラマティックな熱唱をストリングスが盛り上げ、後半には本人による多重録音で夢見るようなハーモニーが花開くのだ。一曲とは思えない情報量を確信犯的にまとめあげたのは、ヒロイズム、辻村有記、伊藤賢を筆頭とするクリエイター陣。増田も作詞で参加しており、ここに今の自分の“喜怒哀楽”を刻み込むのだという心意気がひしひしと伝わる。(石井)