大園玲&中嶋優月が見据える大きな変化とグループの未来 「いい意味で裏切っていくことが“櫻坂46らしさ”」

“櫻坂46らしさ”との向き合い方

「UDAGAWA GENERATION」は“希望”を与える楽曲に

──グループのギャップを見せるという点では、今回の11thシングル『UDAGAWA GENERATION』もまさにそういう作品なのかなと。かなり攻めましたよね。

大園:ありがとうございます。まずタイトルを見たときに「『UDAGAWA(宇田川)』って何?」と思ってすぐに検索したら、渋谷の街の名前だと知って。自分もこの曲の主人公と一緒で、東京で生まれてないけど、憧れてここにきた。特に二期生にはそういうメンバーが多いので、この曲に対してシンパシーを覚える子は多いと思います。

──特に前作「I want tomorrow to come」はメッセージ性の強い楽曲だったので、最初はこの歌詞をちょっと異質だなと感じたんですよ。

大園:確かに、前作だと自分の中で「同じ気持ち、知ってるな」という出来事を探して表現するやり方だったんですけど、今回はそうやって自分の中で何か感情を探すというよりは観る人を楽しませたい、自分たちも全力で楽しみたいというか。感情がいらないわけではないですけど、空っぽでも全部出し切って、みんなを巻き込んでいきたいなっていう気持ちでやっています。

櫻坂46『UDAGAWA GENERATION』MUSIC VIDEO

──実際、歌詞の中にある〈Z世代なんて言葉は/誰かが作ったマーケティング/私は私だ〉っていうラインからは、この曲の根幹にあるものが伝わってきますし。ただ、そういったメッセージをこれまでのようにシリアスに伝えるのではない、と。

大園:そう、ポジティブな自分を持ってる主人公っていうイメージです。

──だから、ここ数作どんどん深いところに入っていく印象があったからこそ、今回はうまく交わされたなって思いました。

大園:自分たちも制作しながら「Buddies(櫻坂46ファン)のみんなにどう受け取ってもらえるだろうか?」っていうのはすごく考えました。“櫻坂46らしさ”を見つけて、その“らしさ”の道の上を進んできた前作、前々作っていう感覚があったので、ファンの方だったり観てくださる方の中にも“櫻坂46らしさ”みたいなものが固まってきていたんじゃないかなと思うんです。そういう意味では、今回の「UDAGAWA GENERATION」はそれまでと方向性が違うので、人によっては“櫻坂46らしくない”と感じてしまうかもしれない。でも、自分たちがやることはすべて“自分たちらしい”って、自分たちが思えばいいんじゃないかなっていうことを改めて感じて。それに、こうやっていい意味で裏切っていくこと自体が“櫻坂46らしい”んじゃないかなと、そう思ってもらえたら嬉しいです。

大園玲(撮影=秋倉康介)

──中嶋さんはこの曲を聴いて、どう感じましたか?

中嶋:私、最初に聴いた瞬間「おお、いいじゃん!」って思ったんですよ。先ほどギャップのお話をしてくださいましたけど、私的にはこの曲はカッコいいのに面白いっていう……たとえば自分がテレビに出ているとき、ひとりだとただの普通の人なのに、メンバーが揃うとみんなにいろんな面を引き出してもらったり、それこそパフォーマンス中は普段の自分からは考えられないくらい強くなれて、いろんな表現をすることができる。「普通で何でもない人間も、こんなふうに変われたりするんだ」っていう希望みたいなものを与えられるのが、櫻坂46の楽曲なのかなと思うんです。だから、今回の楽曲はその面が今まで以上に強く表れていて、個人的には最高だなと。それこそMVでは普段と違うみんながたくさん見られますし、いろんな人に希望を与える楽曲だと思いました。

──なるほど。そのMVですが、こちらもインパクト絶大でした。

大園:衝撃的ですよね(笑)。

──初見であのワンカットはすごいなと思いましたし、何より皆さんが「これでもか!」というほど過剰にやりすぎている感が、カッコいいんだけどコミカルにも映りまして。それこそ、従来の櫻坂46のイメージと『そこさく』などで見せる皆さんのイメージがいい具合にミックスされているなと思いました。

大園:ありがとうございます。今までは、みんなでひとりの主人公の感情を表現したり、みんなが感じたことを自分の中から引き出してパフォーマンスしてきたんですけど、今回はサーカスのセットの中で練習から本番を迎えて、でも大成功ってわけではなく、ところどころ失敗しながらまた次の練習に取り組むっていう流れが表現されているんです。その失敗も「できなくて失敗する」のではなくて、みんなが全力でやりすぎちゃって変なことになって失敗するっていう。

──全力で空回りしてしまう。

大園:たとえば、守屋麗奈の“れなぁ砲”が飛びすぎちゃって、ダンボールの中に突入して失敗するとか、そういうやりすぎな要素がたくさん重なって。ポジティブな失敗から本番を迎えたと思ったら、ビジュアルもやりすぎちゃって、誰が誰だかわからなくなるくらい個性が爆発するという(笑)。あのビジュアルも、私ひとりだけだったらできないと思うんですけど、みんな一緒だったら楽しくなって、恥ずかしいという感情もいつの間にか消えて「実は最強なんじゃないか?」っていう気持ちになれました。そして、本番での失敗を経て、またみんなで次に向けての練習を始めるという。何かをやりすぎちゃって起きる失敗って、実はいい失敗なんだなって感じましたし、大は小を兼ねるじゃないですけど、とにかくまずやってみるんだったらやりすぎちゃうくらいが正解なのかなって考えたりもしました。

櫻坂46(撮影=秋倉康介)

──なるほど。失敗って言うとネガティブに捉えられちゃうけど、全力でやった結果が失敗だったとしても、本人的にはポジティブなものかもしれないし。

大園:見ている人からしたら綺麗じゃないかもしれないけど、本人たちからしたら出し切れたわけなので、ポジティブな結果なんですよ。

──にしても、メンバーの皆さんの動きしかりダンスしかり、本番でのあのメイクしかり、すべてにおいて過剰ですよね。

大園:奇抜な要素がいっぱいあります。サーカスの本番シーンのメイクは本当に誰が誰だかわからなくて、メンバー同士でも「え、誰?」って声を掛け合いました(笑)。自分でも、ふと鏡とかガラスに反射した姿を見てびっくりしましたし。

──中嶋さんはMVを観ていかがでした?

中嶋:私の目には、“憧れ”のように映りました。これまでは人の痛みや弱み、後悔とかに寄り添っている楽曲が多かったと思うんですけど、今回はいい意味で観ている人を置いてけぼりにしつつ、どこか飄々としている感じが眩しいというか。〈私は私だ〉とか〈傷ついたって……好きに生きたい〉とかそういう歌詞も、観ている側として確かにそういう感情はあるけど、現実世界ではそんなことできないし、〈私は私だ〉っていうことを体現するのはすごく難しいと思うんですけど、MVの中のみんなは今まで見たことないような顔をしている。そのいききった感じにこちらも元気になるというか、「本当は私、こうしたいんだ」っていう自分の感情が踊ってるみたいな感じで、観ていてスッキリするMVでした。

──スッキリするっていうのはすごくわかります。何か意味を求めて何度も観るのではなくて、あの爽快感を味わいたくて何度も観ちゃうみたいなMVですものね。

大園:求めている意味もあの絵力で吹っ飛んじゃうと思います(笑)。だから、頭を空っぽにして何度も観たくなると言ってもらえるのが一番嬉しいです。

櫻坂46(撮影=秋倉康介)

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