Acid Black Cherryの音楽が求められ続けているのはなぜか yasuがシーンの中で築いた独自の存在感
なお、今回配信がスタートした音源では、『Recreation 1』『Recreation 2』に新たなミックスとマスタリングが施されているほか、『Recreation 1』には、BUCK-TICKのトリビュートアルバム『PARADE II ~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~』に収録された「ROMANESQUE」が、『Recreation 2』には『DEAD END Tribute - SONG OF LUNATICS -』に収録された「So Sweet So Lonely」がそれぞれ新アレンジで追加されている。リスペクト溢れる名カバーを味わってほしい。
最後に、Acid Black Cherryを語るうえで欠かせないライブについて触れておきたい。yasuにとっての歌は、届ける相手があってこそのもの。プロジェクト始動直後、まず全国15カ所でシークレットライブを開催したことからもわかるように、常にyasuは直接歌を届けるライブという現場を大切にしてきた。
ワンマンツアーではライブハウスからアリーナクラスまで網羅し、さらに『a-nation』や『SUMMER SONIC』、VAMPS主宰イベント『HALLOWEEN PARTY』などのフェスにも多数出演。生歌の迫力はもちろん、ビジュアルイメージとは裏腹に親しみやすいキャラクターとトークスキルを武器に、新たなファンを獲得していった。
ジャンルにとらわれず挑戦を重ねるなか、三度にわたって開催されたフリーライブツアーは彼の愛情とチャレンジャー精神の賜物と言える。特に、2015年に8周年を記念して開催された『ABC Dream CUP 2015 LOVE』では、名古屋、幕張、大阪の3カ所で合計10万人を動員。フリーライブとして国内最大動員数を記録した。
しかし、彼が大事にしたのは記録ではない。採算度外視で、とにかく興味を持った人すべてに気軽に遊びに来てもらいたい。より多くの人に歌を届けて、より多くの喜ぶ笑顔が見たい。そんなシンプルな想いだったはずだ。
こだわり抜かれた作品やライブから多くの人がyasuの愛情を受け取ったからこそ、今もAcid Black Cherryへの愛情がおのおのの胸のなかで輝いているのだろう。発表されたyasuからのメッセージには、「まだ復帰の目処はたっていませんが いつの日か、みんなに会える時を楽しみにしてます」(※1)と希望を感じる一節があった。色鮮やかに生まれ変わったAcid Black Cherryの世界に浸りながら、再び彼の歌声が聴ける日を待ちたいと思う。
※1:https://www.acidblackcherry.com/profile/fromyasutoallfans.html
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